企業と漫画家の接着剤
漫画家と企業は、実は水と油のごとく、相性が悪かったりします。
もう少し言えば、漫画家と現実世界の相性が悪い可能性があるでしょう。
浮世離れした世界を描く漫画家は、とかく世間の常識とはかけ離れた存在なのです。
そこで登場するのが、担当編集者になります。
彼らは、社会人としてダメな漫画家と世間との橋渡し役で、いわば漫画家のお世話係です。
漫画家を現実社会に繋ぎとめて置くための、接着剤の役割を果たします。
彼らはベテランともなれば、多くの漫画家を担当します。
つまり、編集者として経験を積むにつれ、漫画家に絶大な人脈を持つようになるのです。
ボクが週刊少年ジャンプに持ち込んでいた頃、漫画を見ていただいたH氏(承諾をいただいていないので名前は伏せます)は、その後ジャンプの編集長になったらしいです。
(『バクマン』というジャンプ漫画の中で、副編から編集長になってた)
ジャンプの編集長は、ジャンプで漫画を連載するより、なるのが難しいと言われますから、優秀だったのでしょうね。
ボクが見てもらってた頃は、とっぽい感じの兄ちゃんでしたが。
結局、彼の期待に応えられず、ジャンプで漫画を連載する夢は絶たれましたが、彼の言った事の多くは漫画を描くうえで正しいと思える言葉ばかりでした。
企業は編集者と契約すべき
結論から言うと、企業は漫画家レベルではなく、編集者と契約すべきです。
当然、人気漫画の担当編集者ともなれば、何千万。
場合によっては、億単位の契約金が発生する可能性は否定できません。
高すぎると思われるかもしれませんが、一例を紹介しましょう。
H氏が担当した漫画家には、『遊戯王』で有名な高橋先生がおられます。
遊戯王はアニメ化もされ、そのカードゲーム・OCGは、『世界一売れたカードゲーム』としてギネスに認定されています。
レアなカードは高額で取引され、過去にはカード一枚に10憶の値が付いたと言われてます。
(カオスソルジャー・10億でググってみてください)
遊戯王は世界レベルで影響力があり、スマホゲーム『遊戯王デュエルリンクス』のヒットで、コナミの株価は二千円以上上昇したのです。
(ボクも儲けさせてもらいました)
これだけの漫画家に人脈を持つ編集者なのですから、高額の契約金は覚悟すべきかと思います。
ですが、漫画家一人一人と契約するより、はるかに効率がいいのです。
なぜなら、漫画家との契約は漫画の連載終了や、契約打ち切りによって消滅してしまうのです。
それまでの広告宣伝費も無駄とは言いませんが、回収できない場合もあります。
漫画家個人との契約は、企業側から見ればかなりリスキーで、うま味も少ないのでは無いでしょうか。
対して編集者と契約するのであれば、自社の漫画雑誌をブランディング化し、ネットに展開できるのです。
つまり、『一過性ではない』のです。
自社の漫画雑誌のブランディングを進めていけば、ジャンプやサンデーに肩を並べる事も、決して不可能では無いかも知れません。
例え漫画家一人が、連載を終えたとしても、雑誌のブランド力は残るのです。
企業は漫画家ではなく、編集者と契約すべきと言った意味が、お分かりいただけましたでしょうか?
次回
次回は、企業が漫画に二の足を踏むもう一つの理由である、漫画の種類についてお話できればと思います。
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