まったく、ラノベの様な光景が、ボクのボロアパートに広がっていた。
茶髪の美少女に、金髪の美少女が並んで、マンガの準備をしていたるのだ。
「ところでお兄さん、どんな企業の商品にするッスか?」
「え?」「なにボーっとしてるんスか!」
そういえば、女子高生がもう一人いた。
「仮想企業の仮想商品を、マンガにするって二人に来てもらってるんスよ」
「ゴメン、ゴメン。そうだなあ。車とかバイクとかじゃ、マズいワケだろ?」
「女子の描く車のクオリティで、実際の車メーカーが納得するとは思えないっス」
原田妹は、堂々と良い放った。
恐らくだが、単に描くのが面倒臭いのだろう。
「無難に、ファッション、服とか化粧品で行ってみるか?」
「でも、少年誌なんですよね? わたし、絵も少女漫画風だし、題材まで女子に寄せちゃうのはどうなのかと」
市川さんは、気を遣ってくれている様子だ。
「オー。それなら、スポールなんてどうデスか?」
「それ良いかも。あっ、スポールは、スポーツって意味のフランス語です」
市川さんは、イリヤの言葉の解説までしてくれた。
「でも、それだとサッカーマンガとあんまり変わらない気がするな」
「もっと、器具を使うのとかどうっスか?」
「それだと球技より、スキーやスノボがいいかも知れない」
「ウィンタースポーツですか? 大手のスポーツショップとかもありますし、アリだと思います」「エクセラント、それイーネ」
ボクは、パソコンを使ってスノーボードや、スキー板の画像を検索してみた。
「そうですね。これくらいなら、何とか描けそうです」「パ ドゥ プロブレーム」
市川さんは承諾し、イリヤもおそらくOKなのだろう。
「じゃあ、大手スポーツ用品店に売り込む感じで、スノボの話で行ってみるか」
「はい」
「う~ん、どんな話にするかだが?」「それ、運命に任せないっスか?」
原田妹が、中二病なセリフを口にした。
「なに言ってるんだ?」「別に、おかしなコトじゃないんス」
すると原田妹はペンケースから、昔懐かしい鉛筆を取り出す。
「鉛筆がどうし・・・ん?」ボクは直ぐに、鉛筆の異変に気付いた。
「この鉛筆、お尻の部分が削ってあって、数字が書いてあるぞ?」
「要するに、コイツを転がして、舞台やらキャラ設定を決めるんスよ」
原田妹は広告の裏に、1から6の数字を振って、そこに何やら書き始めた。
「まずは、舞台設定っス。どこでの物語を中心に描くかを決めるっス」
「あっ、なら一番はスキー場のゲレンデだね」
「できれば、もっと具体的な地名のがいいかもっス」
「じゃあ、長野県の・・・」「やっぱモンブランね」
「チッチ、まだまだっスね。ハワイっス」
「おいおい。ハワイは雪、降らないだろ?」
「・・・と思いきや、マウナケア山の山頂付近なら降るっス」
話はどんどんと、おかしな方向に流れて行った。