企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)027話

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「あ、ああ。市川さんも居るんだ」

二人に、ネット漫画雑誌の休止を言うつもりだったボクは、戸惑った。

 

「お隣は、お友達さんっスか?」

「ああ。大学で知り合った佐藤だよ」「ど、ども・・・」

佐藤が雄弁を振るえるのは、ネットの世界だけだった。

 

「市川さん、ゴメンね。成績が下がったんだって」

「い、いえ。お兄さんのせいじゃありません。わたしの努力が足りなかったんです」

市川さんは、やはり良いコだ。

 

「いや、ボクの配慮が足りなかったんだ。だから、ネット漫画雑誌はしばらくの間、休もうと思ってるんだ」

卑怯だとは思ったが、勢いに任せて言ってしまった。

 

「はあ、何言ってるんスか? いきなり言われても、困るっス」

「そ、そうですよ。今回のテストは、成績落ちちゃったケド、次は頑張りますから」

「今回のテストだけの話じゃない。キミたちは、女子高生なんだ。人生で一番・・・」

 

「いい加減にして欲しいっス。こちとら、人生に一番大事な時間を、漫画に賭けてるっス。生半可な気持ちで、やってないっス」

「わたしも、そう思います。それに、イリヤだって!」

 

ボクは原田妹から、イリヤがフランスに帰ったと、聞いていた。

「でも、イリヤさんは・・・」「何言ってるっスか? 世界中にインターネットが張り巡らされてるこの時代に、漫画の作業っだって分業できるっスよ?」

 

市川さんはカバンからスマホを取りだし、ボクに見せた。

「あ、イリヤさんだ・・・。アレ、なんかシャワー浴びようとしてるよ?」

イリヤは、スマホの向こうにいるのが市川さんだと思ってか、艶やかな視線を振りまきながらシャワー室に入って行った。

 

「お、お兄さん、何見てるんですか。不潔です!」

「い、市川さんが見せたんだよね?」

「まあ、こっちが昼間の三時っすから、向こうは朝の七時くらいっすかねえ?」

「寝ぼけて、頭が回ってなかったんだな」

 

フランスと日本の時差に、改めて気付かされる。

「とにかく、ネット漫画雑誌はこれからも続けるっス。いいっすね」

「は、はい」気弱で優柔不断なボクは、あっさり押し切られた。

 

「んじゃ、ウチらは勉強があるんで、失礼するっス」「勉強?」

「うるさいっスね。補修っスよ」

市川さんの落ちた点数よりも、原田妹の点数の方が悪かったらしい。

 

「これでわかったっスか? アタシには、もう漫画しか残されて無いんスよ」

寂しそうな眼をしながら、原田妹は去って行った。

市川さんも、慌てて後を追う。

 

ボクもコーヒーの紙コップが、とっくに空である事に気付いた。

「オレらも、そろそろ行くか?」

けれども、佐藤は動かなかった。

 

「なんだよ、リア充かよ?」「き、急にどうした、佐藤?」

「お前、ニートとか言ってるケド、全然ちげーじゃん」

「いや。最近はフリーランスの仕事も、あまり無くてだな」

「今はたまたま無くたって、稼げたときはあったんだろ?」

「ま、まあな」

 

佐藤は、カッコよさとは正反対の捨て台詞を吐いた。

 

ニート、ナメんな!」