企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)028話

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それから佐藤は、さっさとコンビニを出て行った。

 

原田妹に、ネットマンガ雑誌の休止を伝えるという目的は、達成されないまま立ち消えてしまった。

 

「ま、帰って計画を練り直すか?」

ボクは、ボロアパートへと帰るなり、フリーランスのサイトに目を通した。

フリーランスの仕事も、目ぼしいモノはないか・・・ん、なんだ、これ?」

ボクはパソコンに、メールが来ているのに気付く。

 

「な、なんだ? 請け負ったコト無い会社だぞ?」

ボクが請け負ったフリーランスの仕事は、まだ数件だった。

「えっと、貴社の提供されているネットマンガ雑誌を、読ませていただきました。つきましては、この度弊社が始めるネットサービスの漫画を描いて・・・欲しい?」

 

メールは、ネットベンチャー企業からのものだった。

「つまり、この会社が新たに開発したSNSは、文字のみの説明では解り辛いから、こっちで漫画を描いてくれってコトか?」

ボクは、身震いがした。

十分ほど腕を組んで考えたが、大したアイデアは出ない。

 

「ボクだけじゃ、何とも結論が出ないな・・・しゃーない」

ボクは、貯えの少なくなった財布の中身を確認する。

「今日、みんなに連絡を入れておいて、明日、喫茶店に集まってもらおう」

 

「うっス。お兄さん、企業から案件が来たって、マジっすか?」

ボクが喫茶店の席で待っていると、最初に姿を現したのは原田妹だった。

「ああ、そうなんだ」

 

「凄いじゃないですか、お兄さん」

市川さんも、すぐにやって来た。

「でも、ただでさえスケジュールが立て込んでるのに、これ以上キミたちの時間を使うワケには・・・」

 

「あ、お兄さん、久しぶりあです」「懐かしい」「それ言い過ぎ」

姿を現したのは、萩原さんと、山口さんと、大野さんだった。

「アレ、キミたち、漫画は辞めたんじゃ?」「はあ?」「なにそれ?」

 

大野さんと山口さんが、不機嫌そうな顔をした。

「ウチらも、漫研なんだけど?」「でもまあ、漫画は手伝いで、もっぱら情報拡散担当だケドね」

 

「そうなのか。おかげで仕事が入ったよ」

「それ、本気で思ってる?」「なんかうわべ臭~い」

「そ、そんなコトないって」

 

「わたしもそう思うよ。二人は、お兄さんのネットマンガ雑誌の情報を、拡散しまくってますからね」

萩原さんが言うように、今回企業から漫画の依頼が来たのは、大野さんと山口さんの、SNSでの情報拡散能力に寄るところが、大きいと思った。

 

「そ、それでですね。わたしも、本格的に漫画を描いてみようと思います」

萩原さんが言った。彼女は、最初の四人の女子高生の中では、一番可愛い顔をしていたが、パソコンの中のボクの秘密を暴いた、張本人でもあった。

 

「ど、どうして急に?」「だって、手伝いだけってシャクじゃないですか。原田や市川さんに比べたらまだまだだケド、わたしだって絵も漫画も描いてるんですよ」

すると原田妹が、勝手に注文したアイスココアをすすりながら言った。

 

「萩原は、Gペンとかはそんなに得意じゃないっス。でも、ペンタブ握らせたら、アタシより上手いっスよ」

「そっか、萩原さん、パソコンが得意だったもんね」

 

今回、依頼の説明漫画は、萩原さんが中心になって制作するコトとなった。