企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)057話

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報告会

実は、単なるホームページに過ぎない、ネット漫画雑誌ではあったが、雑誌の相乗効果は確実に存在した。

一つの漫画のファンが、他の漫画も読み、さらに多くのファンを獲得したのだ。

 

「とくに、佐藤のサッカー漫画の勢いが、凄まじいな。元々少年誌と銘打ってはいるし、美形キャラをガンガン出したのが、功を奏したか」

 

ボクは、体調不良だった芽美以外をファミレスに集め、報告会を行っていた。

 

「オエエッ! な、何か、喰う気が起きん!!」

佐藤は相変わらず、プレッシャーに弱かった。

 

「いやあ、でもお兄さんのお友達、凄いですよね。いきなりこんな人気漫画を描いちゃうなんて。わたしの漫画、一瞬で抜かれちゃいました」

市川さんが、少し悔しそうに言った。

 

「でも、市川さんのサムライスノボ漫画も、ずっと人気一位だったし、今も二位をキープしてるじゃないですか。凄いですよ」

山口さんが、コーヒーを口に運びながら言った。

 

「いえいえ。山口さんの、ファンタジー世界での株の漫画も、アイデアが凄いと思いました。コア人気で、固定客が付いてるのって、凄いですよ」

市川さんと、山口さんは、近所のおばちゃんみたいに、お互いを褒め合っていた。

 

「実は、山口さんの漫画、スポンサー契約を結びたいって、証券会社から連絡があるんだよね? ま、仲介は夜吸さんなんだケド……どうする?」

 

「内容次第ですね。あまり束縛されてしまったら、漫画の持ち味が無くなってしまいますから」

山口さんは、やはり慎重だった。

 

「でもでも、イリヤさんの漫画も、かなり人気が上がって来たよね。ウサギのコも可愛いし、海外の人独特の絵柄と世界観があって、わたしは好きかな?」

大野さんが、等身大の読者の意見を言った。

 

「そっか。どうもオレには、守備範囲外なんだケド、色んな感性があるんだな」

ボクも、コーヒーを口に運んでいると、浮かない顔の女子高生が目に入った。

 

「どうしたんだ、萩原さん。元気が無いみたいだケド……?」

ボクは、IT漫画を描いて以来、新作を描かない萩原さんを心配していた。

 

「そ、それが、スランプでさ。なんか、いいアイデアが、浮かばないっていうか」

萩原さんは、かなり焦った顔になっていた。

 

「ええ? 元々、いいアイデアなんて、浮かんで無いじゃん。IT漫画も、原田かネーム描いてたし」

大野さんは、純粋なまでに空気が読めない、残念なコだった。

 

「うッ……うっさい、大野! 漫画も描いてないクセに!」

萩原さんの焦りは、かなり深刻に見える。

 

「そうなんだよね。アタシだけ漫画、描いてないのってイヤじゃん。だから……描いてはみたんだ。四コマだケド」

 

大野さんは、申し訳なさそうに、コピー用紙に描いたネームを出した。

「ど、どれどれ? うん、『日常系』なんだね?」

 

「ね、猫カフェの看板娘の姉妹のお話なんだ。猫好きな妹と、猫アレルギーなお姉ちゃんがね……」

大野さんは、楽しそうにストーリーを話し始める。

 

会計も終わり、みんなと別れた後、近所の公園の前を通り過ぎようとした時、ボクの腕が引っ張られた。

 

「……お、お兄さん。ちょっと、相談に乗ってくれないかなあ?」

ボクの腕を掴んだのは、萩原さんだった。