企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)104話

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森兼 明人

「その漫画家って、誰なんですか?」

ボクは夜吸さんに質問する。

 

「前言ってなかったけか? オレが漫画の依頼を受けて、締め切りどころか全然描けずに逃げ出したヤツのコト」

 

「ああ、その話の人ですか」

「いややいやいやいや、なにしれっと進めてるっスか!? そんな締め切りも守れないような人を、どうしろって言うんっスか?」

 

「そうだなあ。正直にいうと、才能はあるヤツなんだ。ただ……」

「ただ?」「ただっス?」ボクと芽美は、同時に問いただした。

 

「人一倍、言いワケをするヤツだ……いや、人十倍かな?」

「夜吸氏、自分でなに言ってるか、わかってるっスか!?」

 

「わかりました。会ってみます」

ボクは、夜吸さんの意見を受けた。

 

「チョ……鷹詞、なに言ってるっすか!?」

「まだ、採用するとは言ってないよ。会って、どんな人か確かめてみる」

 

正直に言えば、言いワケをするヤツは、大勢見て来た。

ただ……自分が何もしない為の言いワケ。

辛い現実を、先送りしたいが為の言いワケ。

 

「どんな言いワケをする人か、楽しみだ」

夜吸さんは、ボクに彼の連絡先とプロフィールを送ってくれた。

 

翌日、市川さんの漫画の打ち合わせを終え、近くのコンビニでサンドイッチをほおばりながら、夜吸さんから受け取ったプロフィールを確認する。

 

するとフードコートに、芽美が現れた。

「あれ、今日はどうしたんだ?」

「鷹詞がヘンな契約しないか心配だから、ついてくんスよ!」

 

「でも、自分の漫画はどうした?」

「キャラは、アニメのアレンジで決まりっスけどね。実際に、ネット漫画雑誌の一部始終を描こうとすると、鷹詞の取材をするのが一番なんス」

 

「なる程……一理あるといえば、あるのか?」「あるっス」

コンビニを出ると、芽美はボクの左腕に纏わりついてきた。

 

秋の様そうにはほど遠かったが、何となくのデート気分も味わいながら歩く。

「ところで……どんな名前の人っスか?」

 

「名前は、森兼 明人。夜吸さんの幼馴染みらしいが、末依先生は知らないって言ってたな」

 

「するってえと、高校以前の付き合いの線が濃厚でやすね?」

「なんで、おかっぴきみたいな喋り方になってんだよ。でもまあ、可能性は高いな」

 

ボクたちは、一戸建ての前に立っていた。

「こ、ここっスか? 思ったよりか、普通の一軒家っすねえ?」

「両親と、三人暮らしらしい……アポは、夜吸さんが入れてくれたみたいだ」

 

ボクは、家のインターフォンを押した。

「あ、ヤっくんからの紹介の人ね。さ、上がって、上がって」

 

ボクはたちは、いきなり二階の森兼さんの部屋の前に通される。

「オイ、ふざけんな、ババア!? 誰が勝手に……」

 

中から怒声が聞こえる扉を、ボクは開けた。

そこには引きっぱなしの布団と、数々のフィギュアと、意外を美形な男の姿があった。