企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)130話

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学校のような存在

「あ……あの、晃さん。ウチはこ通り、ボロアパートなんで、そんなに見るべき

ところも……」

 

すると晃さんは、ボクの机の上にあった原稿用紙を眺めていた。

 

「この絵……もの凄く上手いですよね? でも、こんな絵柄の漫画、ネット漫画雑誌には載ってませんでした」

 

「ああ、それは兼ちー……じゃなくて、森兼 明人の漫画です。まだ、表紙絵だけですケド」

 

「森兼さん……新しい漫画家さんですか?」

「ええ、その予定なんですケド、著しく気まぐれなヤツでして……」

 

「著しくなんて、生易しいっス。性格は、ひねくれまくってて、ゴミっス!」

かつて兼ちーと、差別についてもめた芽美が、息巻く。

 

「そう言えば、お前はなんでウチに来てんだ?」

「とーぜん、新連載の一話目が完成したんスよ」

 

「そっか、どれどれ?」

芽美から、いきなり十数ページの原稿用紙を渡された。

 

「うん、まずは物語の導入部分か? 前のサッカー漫画より、キャラが厚いっていうか、深みがある感じがするな」

 

「そうっスか? キャラが漫画やアニメっぽいとか、前の連載じゃ散々言われたんで、何とか直してみたんスよ」

 

「あの……わたしにも原稿、見せてもらってもいいでしょうか?」

晃さんが、背中から覗き込んできた。

 

「いいですケド……いいよな、芽美?」

「まあ、別に構わないっス……」

構わないと言いつつ、不満気な芽美。

 

「……この漫画って、主人公がネット漫画雑誌を立ち上げようとしている、お話なんですね。面白いし、参考になります」

 

「ま、まあ少しは見る目があるみたいっスね。ところで鷹詞。この女のデザイン事務所とは、どんな契約を結んだんスか?」

 

「この女じゃなくて、晃さんな。実は……」

ボクは、サッカークラブからデザイン事務所に至るまでの経緯を、芽美に話した。

 

「ど、どーしてそうなるんスか? まず、サッカークラブにウチの佐藤先生の漫画を、無償で貸し出す意味が解らないっス! それにサッカークラブが、漫画連載を始めようとしてるんスよね?」

 

「ああ……そうだよ」

「それって、完全にライバルじゃないっスか?」

 

「でも、面白そうじゃないか? サッカークラブが、漫画部門を持つんだぜ」

「そんなに簡単に行くとは思えないっスケド、上手く行ったらウチの漫画家を抜かれちゃうっスよ?」

 

「でもさ。漫画家が必要とされる場所は、増えるワケだろ?」

「そりゃそうっスケド……鷹詞は、それでいいんスか?」

 

「そうだな……」

ボクは、かつて心に誓った決意を、初めて打ち明ける。

 

「ボクのネット漫画雑誌は、学校みたいな感じで良いと思ってる」