企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)140話

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原価中

「でもっスね。ウチのネット漫画雑誌のメンバー、全員そろってないっスか?」

 

ファミレスに、一堂に会する漫画家やアシスタントたち。

 

「フランスにいるイリアを除いけば、全員だね」

萩原さんが言った。

 

「そっか。最初に声をかけたのが芽美で、そっから萩原さん、山口さん、大野さんが呼ばれて来てくれたんだ」

 「そおっスね。んで、あたしが声をかけたのが市川とイリアだったっス」

 

「わたしとイリアは別の高校なのに、原田に呼んでもらえたから、今こうしていられるんです」

市川さんは、芽美に抱きつく。

 

「そのあとに、佐藤先生が堂々のデビューをされたんですよね?」

うれしそうな池田さん。

 

「それで今年に入って、田中さん、今井さん、池田さんが入ってきて、わたしが抜けたのね……」

山口さんが言った。

 

「あ……一人、忘れてた……」

「鷹詞……思い出さなくて、いいっスよ。むしろ、無かったコトにするっス」

芽美が言ったのは、森兼 明人のコトだった。

 

「あー、ちなみにだが、居るぜ。オレが呼んどいた」

夜吸さんが、サラリと言った。

 

「え、居るってどこに……?」

ボクは席を立って、二~三歩歩くと、大型席の反対側のソファに、顔をメニューで隠した兼ちーが座っていた。

 

「ふ……ふざけんな、ヤッくん!? オ、オレがこんな、リア充どもとどうして同席せにゃならんのだ!!?」

自室とは、まるで別の環境に、パニクる兼ちー。

 

「おー、あなたが兼ちーさんですか? 初めまして、佐藤です」

女子高生の群れから、逃げるように佐藤が、兼ちーの前の席へと座った。

 

「アレ? ドリンクバーだけですか?」

敬語を使う佐藤。

兼ちーは、夜吸いさんの友人であり、ボクたちよりもだいぶ年上なのだ。

 

「だったらどうした? 山盛りポテトフライはさっき、喰っちまっただけだ」

「相変わらず、カロリーガン無視で、コスパだけで選ぶな、お前?」

「うっせーな、ヤッっくんは、人妻の手料理でも食ってろ」

 

「でもジュースなんて、原価はかなり安いんですよ。コスパがいいかは……」

佐藤が、うんちくを披露する。

 

「あ? この世の中もモンが、原価しかかかってねーワケねーだろ。バカか、お前」

メニューの向こうから眼を出し、佐藤を睨みつける兼ちー。

 

「『原価中』っているよなあ? ジュースの原価は安いだの。そいつらの頭ン中じゃ、人件費も、輸送費も、製造コストも、一切かからないんだから、笑っちまうよなあ?」

 

「ひいいぃい!?」

ボクにしがみ付く佐藤先生。

 

「そんなコト言やあ、車だって原価しか見なけりゃ、もの凄いぼったくりじゃねえか……鉄やゴムやガラスなんだからよお?」

兼ちーは、相変わらず兼ちーだった。