企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)139話

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再会

「今、揃ってないのは、大野くらいっスね。あとからアタシが……あ」

 

芽美が気を利かせようとしたとき、ファミレスの窓の外を二人の女子高生が通りかかった。

 

「大野さん、それに山口さんも久しぶり」

二人のうち一人は大野さんで、もう一人は山口さんだった。

 

あまりの大所帯に、店員が気を利かせて角の大型席に移る。

 

「ご無沙汰してます、お兄さん。ぐうぜん大野とばったり会って、話しながら歩いてたら、ファミレスの窓で芽美が暴れてるのが目に入って」

 

山口さんは、ボクのネット漫画雑誌で、ファンタジー世界が舞台の株や不動産取引の漫画を描いていて、一定のファン層を獲得していた。

けれども今年の夏、受験勉強を理由にペンを置いたのだ。

 

「どう、山口さん。受験勉強は順調?」

「ええ、まあそれなりに。あ、あとコレ、漫画のデータなんですが……」

「え? 山口は、漫画辞めたんじゃ無かったっすか?」

 

「そうなんだケド、受験勉強の合間に描けたから、持ってきたのよ」

「成績もバッチシなのに、余裕っすねえ?」

「いや、芽美……お前の方はどうなんだ?」

 

「え、アタシはっスねえ? 相変わらず、低空飛行を続けてるっス」

「お前も来年は受験生なんだから……」

「いや、前にも言ったっスけど、あたしの目標は漫画家一本っス!」

 

「勉強がしたくないだけだろ?」

「んー、前はそうだったんスけどね。漫画家と言えど、勉強は必要かと思って最近は、授業は真面目に聞いてるっスよ」

 

「前は?」「ノートや教科書に落書き……漫画の練習っス!」

まあボクも、人のコトは言える状況でも無かった。

 

「有難う、山口さん。前に貰った三話分も、今月で終わりだから寂しいと思ってたんだよ。ファンも、嘆いてたしな」

 

「わたしの漫画、絵よりも文字が多いから、またお兄さんには手数をかけるわ」

「いいよ、そんなコト。オレの仕事なんだからさ」

 

「ええ、有難う」

山口さんは、頬をうっすらと紅く染めた。

 

「でも、来月まで延命されたとはいえ、これで最終回なんスね」

芽美は、漫画データが入っているであろう、SDカードを眺めしんみりしていた。

 

「え? 三話分よ、それ」

「へ?」「さ、三話分!?」

その場にいたみんなが、閉口した。

 

「超人っっスね!!」

「どうしてそんなコトが、出来ちゃうかな?」

 

「勉強の合間の時間を利用して、息抜きに描いただけよ。それより、この集まりは何?」

 

「それはっスね。みんなでスノボ合宿をしようという話になったっス!」

「山口さんも、良ければ来ない?」「ええ……そうね」

 

ボクの誘いに、山口さんは顔を縦に振った。