企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)141話

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ブスに人権なし

「あ、あんまりだぁ~~!!?」

佐藤先生は、兼ちーの刃のように危険な言葉のナイフで、深手を負った。

 

「な、泣かないで下さいよォ、佐藤先生!」

池田さんが、必死になぐさめる。

 

「あいッかわらず、イヤミなやつっスね!?」

今度は芽美が、兼ちーの前に立ちはだかった。

 

「なんだ、ブス?」

森兼 明人は、ファミレスの窓の外を見ながら呟く。

 

「……だ、誰がブス……で、でもここで答えたらっス!?」

つまり兼ちーは、芽美に背を向けてるのだ。

芽美は、その手には乗るまいと気持ちを落ち着かせる。

 

「言うよな……ブスに人権なしって……」

 

兼ちーは、それを口にした。

 

「……んなッ!?」

森兼 明人の言葉に、その場の誰もが凍り付く。

 

「はあ? 言わねーっスよ! 黙って聞いてりゃ、人権侵害もはなはだしいっス!!」

 

「あ~そうかあ?」

背を向けたまま、ガラスに映った芽美と会話する兼ちー。

 

「だったらお前、ブスも美人も同じ人権が与えられてるって思ってるのか?」

「そ、そりゃそうっスよ……」

 

「ブスも美人も、世の中で同じように扱われている……と?」

「え? そ、それは……その……っス!?」

 

「世の中のヤツが並べ立ててんのは、しょせんは建前だぜ。現実には、しっかりと差別されてんだろうがよォ?」

「う……うう……!!?」

 

「何なら、聞いてみたらどうだ? そのヘンの野郎によォ?」

兼ちーの左手が、ボクそ指さした。

 

「男ってのはよォ。ブスも美人も、ちゃ~んと平等に扱ってんのかって、周りにいる男共に聞いてみやがれ!!」

(※本当に聞いては、いけません)

 

ボクは、咄嗟に顔を逸らす。

……逸らした。

逸らしてしまった。

 

そりゃ、逸らすってもんだろうがよォ!!

 

「た、鷹詞はどう思ってるんスか?」

「お兄さん、どうなんです?」

「え……二人とも、カワイイよ?」

 

「それ、ぜんぜん答えになって無いよ!!」

「確かに世の中には、森兼さんの言う差別は平然とあるようね……」

「萩原さん、山口さん、二人とも目がこわい……!!?」

 

「女の子を見た目で判断するなんて、サイテー」

「ところで……佐藤先生はどうなんです?」

「ひぃぃぃぃぃ!!?」

 

その日、ボクや佐藤は、集まった女子高生たちに聞かれ続けた。

それはもう、しつこいくらいに何度も何度も。

 

けっきょく彼女たちは、まったく納得してもくれずに、ボクと佐藤が積み上げて来た信用は、脆くも崩れ去った。

 

「兼ちー、混乱の間に逃げやがったな……」

「なんでお前、あんなのと契約したんだよ!!?」

「ス……スマン!!?」

 

ボクは、とんでもない爆弾と契約してしまった事を、後悔した。