前回は、中小企業でも共同出資でウェブ漫画雑誌の運用は、可能だとお伝えしました。
出版不況と言われる現在でも、ウェブ書籍の発行部数はむしろ伸びてます。
また、漫画という媒体自体の発行部数は、小説などと比べて高く、中には一億部を超える作品も散見します。
リスクは当然ありますが、中小企業が集まって共同出資をしてでも、運営する価値はあると思います。
ですが、漫画雑誌の運営には注意が必要です。
大手企業のように、有名な漫画雑誌の編集者と契約できれば、運営から漫画家との付き合い方まで一任できるのですが、漫画業界を知るくらいのアドバイザーでは、一任するのはリスクが高いです。
ですので、ある程度は漫画の知識と、漫画雑誌運営のノウハウ、漫画家との付き合い方を知っておく必要があります。
漫画とアニメの違いも解らないなど、もっての他です。
逆に、漫画をたくさん読んでいるから、自分は漫画のスペシャリストだと思うのも危険です。
普通に考えて、色々な料理を食べ歩いているからといって、優秀なシェフになれるワケではありません。漫画も同じです。
漫画雑誌を運営する前に、まずは漫画家という得体の知れない生物について、知る必要があります。
彼らはまず、漫画を描いてそれが世間の評価を受け、成功するのを夢見ます。
また、できる限り、自分の描きたい漫画でそれを成し得たいと思うものです。
これについてですが、よほどの理由でも無い限りは、彼らの意思に反する必要は無いと思います。
一概に漫画家といっても、描ける絵、ストーリー展開、笑わせ方や間の取り方まで、一人一人違います。
かわいい絵が得意な漫画家に、劇画調の絵を描けと言っても無理です。
逆に、リアルな絵が得意な漫画家に、かわいい絵を描けと言っても、無理な場合が多いです。
笑わせる話が得意な漫画家もいれば、感動させる話が得意な漫画家もいます。
お笑い芸人を想像すると、分かりやすいでしょうか?
彼らも、ギャグのセンスや間の取り方、ツッコミのタイミングまで様々です。
ビートたけしに、志村けんみたいな笑いをやってくれと言っても、だったら最初から志村けんに声をかけろよとなるのです。
まずは、自社商品やサービスの雰囲気に合った漫画家を、選びましょう。
ですが、気を付けなければならないのは、お互いのイメージを完全に一致させるのは無理です。ある程度の妥協は必要となります。
実はこれが一番、難しかったりするのですが。
現在はランサーズなど、クリエイターと契約できるサイトも増えてますので、こういったサービスを利用するのも手です。
ただ、気を付けなければならないのは納期、漫画家でいう締め切りです。
担当編集者が漫画家に付く、大手漫画雑誌ですら落とす場合もあるのですから、落とすのは覚悟で運営してください。
何を言っているのかと思われるかもしれませんが、漫画の場合、やっつけですら何ともならない場合が多いです。
文章と違って、いちいち絵を描いてるワケですから、物理的に無理な場合も多いのです。
また、『納期は守るけど人気の無い漫画家』と、『納期は守らないけど人気のある漫画』が居たとします。
漫画の世界では、圧倒的に後者に価値があります。
有名な雑誌でも、どれだけ落としても切られない漫画家はいます。
それだけ、世の中に影響を及ぼす漫画を描ける人材は、限られているのです。
資本が限られているのに、締め切りを落としたくらいで漫画家を切っていたら、何の意味もありません。
要は漫画家に人気漫画を描いてもらい、世の中の注目を集めるのが重要なのです。
社会常識だとか、プロ意識だとか、漫画家に言っても、大して意味はありません。
時間の無駄ですから、止めましょう。