前回、中小企業が共同出資してネット漫画雑誌を設立した場合の、雑誌運営の注意点についてお話しました。
漫画を制作するのは、とても手間のかかる作業です。
YouTubeなどの動画一本を作るのと比べても、はるかに手間がかかってしまいます。
きっちりと締め切りくらい守らせたいところですが、それで育てた漫画家に逃げられてしまっては、本末転倒です。
漫画家の扱いに慣れた漫画雑誌の編集者であれば、漫画家という生物の習性をわかったうえで、スケジュール管理します。
まず、漫画家というのは、スケジュールの見積もりがとてつもなく甘いです。
漫画家が、三日で終わらせられると言ったら、六日は見積もっておいてください。
そのうえで偽の締め切り日を設定し、急き立てます。
これでやっと、上がる感じですね。
この辺りは、『吼えろペン』という、島本和彦先生の漫画家を題材にした漫画で、取り上げられています。
また、ネット漫画雑誌の特性を活かす方法もあります。
そもそも、締め切りを守らないのであれば、締め切り自体をなくす方法です。
まず、どうして締め切りは発生するのでしょか?
紙媒体で雑誌を発行するのであれば、決まった日が発行日となり、そこから逆算するかたちで印刷、入稿最終日、締め切り日などが決まっていきます。
漫画家全員が絶対に、決められた印刷日に間に合わせる必要があるのです。
ですがネット漫画雑誌の場合、流通も印刷も必要なく、漫画原稿をネットにアップさえすれば、読者が読める状態にできます。
つまり、一本一本の漫画を、個別でアップできてしまうのです。
紙媒体の漫画雑誌に比べると、わざわざ締め切り日を設ける必要性は、かなり低いです。
原稿をアップした日が、その漫画の更新日にできるのが、ネット漫画雑誌の強みです。
○○先生の漫画が、アップされましたよ・・・と、メルマガでも飛ばすくらい、柔軟に運用しましょう。
色んな漫画が別々の日にアップされれば、メールが読者の目に留まる確率も上がります。
大手企業であれば、資本を大量投下し、優秀な編集者、優れた漫画家、敏腕なアシスタントを揃えられるでしょう。
老舗の漫画週刊雑誌などは、締め切りを守らない漫画家もかなり少ないし、管理も行き届いています。
ですが資本が少なく、ノウハウもなく、漫画家もランサーズで契約し、アシスタントもできる限り減らすのであれば、締め切りは柔軟な方が良いと思われます。
ランサーズなどでは、説明漫画の経験しかない、もしくはそれすらも納品した事が無い漫画家も、居るかもしれません。
漫画も描いた事無いのに、締め切りなんて分かるハズも無いですからね。