企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)048話

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サッカー漫画

学校を出たボクは、流石に芽美たちと一緒に帰るワケにもいかず、そのまま一人で家路に付いた。

 

「また、コンビニにでも寄って行くか。夜吸さんか佐藤辺り、来てないかな?」

ボクは、やたらと出会いの多い、いつものコンビニに寄った。

 

「あ、夜吸さん……それに、佐藤も?」

まさかの、二人ともフードコートにいたパターンだった。

 

「おう。漫画、ご苦労さん。とりあえず、先方にOKもらえてよかったな」

「はい、有難うございます。その……失礼なことを言って、スミマセンでした」

 

「いいって、いいって。誰かに仕事を振る立場だと、ああなる時もあるさ」

夜吸さんは、当初の印象よりも気さくな人に思えた。

 

「佐藤も、久しぶり。バイト、見つかった?」

「い……いや。オレ、決めたんだ」

佐藤は、夜吸さんのとは比べ物にならない、ダサいメガネを光らせた。

 

「今度は、何を決意したんだ?」

「オ、オレ、もう一度、漫画家を目指してみようかと思ってるんだ」

「いやいや……そんなに、簡単に言われてもだなあ」

 

「オレ、お前の作ったネット漫画雑誌を見て、すげえって思ったんだ。ちゃんと、漫画もたくさん載ってるし、読者だって付いてる」

佐藤は、いつも通り真剣に言った。

 

「へェ。実はオレ、お前の雑誌読んでないんだよね……どれどれ?」

夜吸さんも、ボクのネット漫画雑誌をスマホで読み始めた。

 

「な、なあ。今さらかと思われるだろうが、オレも漫画を描いたら、お前の雑誌に載せてくれないか?」

「待て待て、佐藤。流石にもう、オレ一人のネット漫画雑誌じゃないんだ。クオリティの低い漫画は、載せられない」

 

「ああ、解ってるよ。下手な漫画を載せた日にゃ、読者にボコられんのはオレだからな」

そう言うと佐藤は、リュックサックから漫画のネームを取り出した。

 

「サッカー漫画か……芽美のと被るな。とりあえず、汚い字を補整して、何とか読まねばならんか?」

ボクは、佐藤の原稿に目を通した。

 

「こ、これ、意外に面白いじゃないか?」率直な感想だった。

「佐藤って、サッカーに興味あったっけ?」

「中学も高校も、三週間くらいサッカー部に在籍したぞ」

 

「三週間で、辞めたと言え!」ある意味、一貫した生き方だと思った。

「部活は辞めたが、プロサッカーリーグの観戦は好きでよく見に言ってるんだ」

佐藤の言葉通り、サッカーが好きだという気持ちが、伝わってくる漫画だった。

 

「このクオリティで本番も行ければ、ありかもな。芽美や、萩原さんにも、相談してみるよ」「ああ、頼むよ」

ボクは、コンビニのコピー機で、ネームを何部かコピーした。

 

フードコートに戻ると、何故か夜吸さんが近寄って来た。

「な、なあ。お前のネット漫画雑誌に載ってる漫画、誰が描いてるの?」

「へ? それは、芽美に、萩原さん、あと市川さんってコですね」

 

「なんか、女っぽいんだケド?」「はい、実は全員、女子高生なんですよ」

「なん……だと!!?」

 

夜吸さんの、グラサンの向こうの表情が変わった。