企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)065話

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経営者の判断


「悪いが、経営者は理想だけでは出来ないのでね」社長は言った。

 

「漫画が人気なのは解かる。本当に人気のある漫画は、それこそ世の中の常識すら変えてしまう。けれどもそれは、ほんの一部の漫画に過ぎない。ごく少数のエリート漫画家が書く漫画だよ」

 

真理を付かれた、と思った。頭ごなしになら、まだ切り返せる。

だが、理論で来られた場合、それを論破する必要がある。

 

「そうですね。その通りだと思います」

ボクがトーンダウンすると、専務が噛みついて来た。

 

「ホラみろ。まるで自分のところの漫画が、絶大な影響を及ぼせるような言い方だったが、そんなのは妄想だ。宇津井、キミも漫画などを広告としてとらえずに……」

 

「専務、まだ彼は話したいようだ。話を聞いてみようじゃないか?」

専務は、社長の一言でおとなしくなった。

 

「確かに世の中を変えられる影響力を持った漫画は、ごく一握りです。クフ王のピラミットに例えるなら、頂上の上から数センチの間と言ったところでしょうか?」

 

「そんなにかね。だからわたしは、漫画など……」「専務」「はい」

 

「ですが、そんな頂点の漫画家は、ネット漫画雑誌で連載はしてくれないでしょう。彼らは、彼らの描く漫画が載っているから、掲載されている雑誌が売れるのです。エリート中のエリートであり、金にも名誉にも困ってはいないでしょう」

 

「それはそうだ」「そうね、無名のネット漫画雑誌と天秤にかけたら……」

会議室のあちこちから、ざわめきが聞こえる。

 

「漫画家のヒエラルキーの、次の段階である、『雑誌に載っていれば、読まれる漫画』を描ける漫画家も、大半は渋るでしょう」

 

「有名な漫画のついでに、読んじゃう漫画のコトね」

「雑誌を買ったんだし、もったいなくて読んでみると、意外に面白かったりするんだよな?」

若手社員は、漫画に詳しく、漫画をポジティブに捉えていた。

 

「ボクたちはまず、このレベルの漫画を目指します。このレベルの漫画でも、一部はアニメ化されたり、コアなファンも付いています」

 

「簡単に言えば、二流の漫画家だろ? そんな漫画には、大した影響力も……」

「いや、流石にそうとも言い切れないな、専務」

 

社長は、少し考えながら言った。

「もう少し、話しを聞かせてくれないか? キミのネット漫画雑誌には、どんな漫画が載っているのかな?」

 

「それなら、皆さんのスマホで、すぐに読めますよ」

ボクは、服の胸ポケットからスマホを取り出した。

 

アドレスを教えると、会議室に集った社員全員が、ボクのネット漫画雑誌を読み始める。

 

ボクは、不思議な光景だと思った。