企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)064話

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企業会議

「それでね。一度ウチの会議に出て、頭の固い人たちを説得して欲しいわけよ」

「え?」「その……簡単に言うと、上が納得してないってコトですか?」

「ま、まあ、はっきり言っちゃうとね」宇津井さんは、頭を掻いた。

 

「なあ、どうするよ、オイ」「どうするって……こっちが聞きたいですよ」

ボクと夜吸さんは、三十分ほど待たされた後、企業会議に巻き込まれる。

 

会議は、各店舗の売り上げ、生産ラインの効率化、在庫管理など、多岐にわたった。

「次は、広報の宇津井くん。キミの意見じゃ、漫画を採用したいとのコトだが?」

四十代くらいの部長らしき人が言った。

 

「はあ、そうなんですよ。我が社もこのまま何もせず、手をこまねいていてはジリ貧です。ここは一つ、インパクトのある……」

宇津井さんの説明を、六十代くらいの専務が遮る。

 

「最近は、若者のスポーツレジャー離れが深刻なんだよ。昔なら、スキーもボードも、それぞれのウェアも売れたケド、今は趣味も多様化しちゃったからさ。それを漫画なんかで、呼び戻せるとでも思ってるの?」

 

「は……はあ」歯切れが悪い宇津井さん。

 

「そうですね。でも、だからこそ漫画は、向いていると思います」

ボクは口は、いつの間にか動いていた。

 

「キミが、宇津井くんの言ってた、漫画家かね?」

「いえ。ボクはネット漫画雑誌の制作をしていて、漫画家さんに描いてもらっている立場です」

 

「よく解らんが、社長みたいなモノかね」「大雑把に言えばそうです」

 専務は、漫画には詳しくは無さそうだった。

「それで、どうして漫画が向いていると言うんだね?」

 

「それは、漫画の絶大な影響力を見れば明らかです」

ボクは、立ち上がっていた。

 

「今まで漫画や、それを原作とするアニメは、日本のみならず世界中で、数々のブームを巻き起こしました。漫画には、そのポテンシャルがあるのです」

 

「確かに言われてみれば、漫画でブームが起こったのって、たくさんあるよな?」

「サッカーブームやバスケブーム、テニスブームとかさ」

 

「いや、それどころか、囲碁やカードゲームまでブームになってるぞ?」

若手社員から、次々に賛同の声が上がった。

 

「でもねえ。当たる漫画ばかりとは、限らんだろう?」

「それを言ったら、他の広告だって当たり外れはありますよ」

専務の反論を、今度は宇津井さんが覆した。

 

「わたしも実は、専務と同意見なんだ」

会議室の真ん中の椅子に座った、六十代くらいの人が言った。

 

その人は、間違いなく社長なのだが……。