企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)014話

「でもまあ、三人に手伝ってもらって5ページが完成しないんスからねえ」

原田妹はしみじみ言った。

 

「でも、漫画が手間がかかるってのも、考えようだと思うんだ」

「考えようっスか?」

「だってそれは、ひな形を作ってるワケだろ?」

「ひな型・・・ってなんスか?」

最近の女子高生には、馴染みの無い言葉の様だ。

 

「車なんかの工業製品は、鋳造で作られる場合も多くてさ。まず型を作って、そこに溶けた金属を流しこむんだ」

「その型ってのが、ひな型っスか?」

「うん。当然、ひな型を作るのには、時間をかけるんじゃないかな」

「そりゃまあ、ひな型が歪んだりしてたら、不良品が大量にできちゃうっス」

 

「漫画も同じだと思うんだ。漫画家が描くのは、その後、大量に印刷される雑誌やコミックのヒナ型なワケだよね。時間や手間がかかるのも当然さ」

「な、なる程っス。でもネット漫画だと、印刷するワケじゃないっスよ?」

「でも、大勢の読者に読まれる可能性があるのに、変わりないだろ?」

原田妹も今度は、大きく頷いた。

 

「だからこれからは、載せる漫画の品質を向上させないといけないと思ってる」

「確かにそうっスけど、それって担当の編集者がやる仕事っスよ。お兄さんにできるっスか?」「できない・・・今は」

漫画の経験や知識など明らかに、目の前で脚を抱えて座っている女子高生の方があるのだ。

 

「だから、オレも漫画の内容に口を出させてくれ」

「出すのは勝手っスけど、そう甘くは無いっスよ」「ど、どうして?」

「だって、自分では面白いと思って描いてるっスよ。直すのであれば、明確に変えた方が面白いと証明してもらわないと、納得できないっス」

「ま、まあそりゃそうか?」ボクは腕を組んで、唸った。

 

「実際、素人の意見って、なんていうか厳しいんスよね」

「例えば?」「た、例えばっスか? そうっスねえ・・・」

原田妹も、しばらく唸った後、何かを閃いた様子だった。

 

「料理に例えると、わたしがハンバーグについて意見を求めたとするっス」

「お、おう?」

「でも素人ってけっこう、ハンバーグより、カレーのがいいぜ・・・とか言ってくるんスよ。こっちはハンバーグについて意見を求めてるのに、誰もお前の好みなんか聞いてねーよってなるっス」

 

「つまりは、キミが描きたいのが少女漫画だとして、少女漫画について意見を求めたのに、SFロボット漫画の方がいいから、それを描けとか言ってくる・・・ってコト?」

「そ、そうっス。よくわかったっスね?」

「いやあ、オレも言いそうな気がして・・・」

原田妹の笑顔が、冷たい表情に変わった。

 

「つまりは素人ってのは、単に自分の好みを押し付けてくるのか」

「そうなんスよ。なんなんスかね、アレ」

言われなければ、そうしてしまいそうだったボクは、言葉に詰まった。

 

「あと困るのが、そこだけしか見てないって、意見っス。あれ、厄介っス」

「ま、まだあるのか?」

 

ボクは、まだまだ漫画について、何も知らなかった。