企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)010話

「それじゃあ、ペン入れに入るっス」「どれくらいかかりそうだ?」

5ページくらい、今日中には終わると思うっス」

原田妹は、三人の友達に枠線引きやベタ塗りの指示を出し、作業を分担した。

 

意外にも、枠線は水性マーカーで引かれ、それを原田妹が次々にペン入れする。

「なるホド・・・こうやって実際に原稿用紙にペンが入っていくのを見ると、勉強になるな」「お兄さんも遊んでないで、消しゴムかけてっス」

原田妹は漫画を描き始めてから、目付きや性格が変わった。

 

制服のスカートの下に、学校指定のジャージを穿いた女子高生たちは、5枚の原稿を完成させようと必死だった。

やがて窓からオレンジ色の光が差し込み、そのうち夜になる。

 

「あ、あの・・・まだ完成しない?」「う・・・うう・・・」

「あのさ、原田」「これ、今日中は無理っしょ?」

原田妹は、顔を縦に振るのをためらっていた。

原稿は2ページが八割がた完成で、3ページが二割程度といったところだった。

 

「今日はもう遅いから、作業はまた今度にしよう。夜道は危ないから、送っていくよ」

ボクは三人の女子高生を駅で見送り、原田の妹を家まで送った。

「も、申し訳ないっス。完成させるって言ったのに・・・」

 

「いや、キミたちが手を抜いていたのならともかく、全力で作業しての結果だ」

ボクは心からそう思った。漫画作業を始めてからの彼女たちは、とてもまじめで作業に集中していた。

 

「漫画ってのが改めて、手間がかかる媒体なんだって、思い知らされたよ」

四人が分担して五時間の作業をし、それでも原稿は完成しなかった。

「漫画が完成したら、読むのはたぶん1分もかからないだろう」

「・・・そうっすね。コスパ悪すぎっスよね?」

原田妹は、うつむいていた。

 

確かに原田妹の言う通りだった。

動画であれば、個人で毎日投稿している人間もいる。

けれども今日の作業を見る限り、漫画にそのスピードを求めるのは無理だと感じた。

 

「でも、漫画家ってのは皆、こうやって漫画を描いてるんだ。こりゃ、ネット漫画雑誌のサイトも、気合入れないとな」

ボクは愛想笑いをしたが、原田妹は返事もせず家に入っていった。

 

空を見上げると、妙に黄ばんだ月が黒い雲に隠れていく。

「こりゃ・・・根本から考えないとな」

 

帰りの夜道を歩きながら、ボクはトボトボと考えた。