企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)012話

原田は外出中で、二時間くらいで帰るから、勝手に上がってくれとの事だった。

 

念のため呼び鈴を押したものの、誰も出てくる気配がなかい。

「ゴ、ゴメンください。誰かいませんかぁ?」

何度か呼び掛けてみたものの、やはり反応が無かった。

 

「やっぱ昨日、漫画は手間がかかるとか言っちゃったから、怒ってどこか出かけちゃったのかなあ?」

ボクは原田妹の事が気になったが、居ないものは仕方がない。

そう思って玄関で靴を揃え、障子の向こうの居間に入った。

 

和室に似合わない、ガラスのテーブルの前にはソファがあった。

ボクはソファに座って、ノートパソコンを広げた。

「中古で2万の安物だが、テキスト打つくらいは問題ない性能だからな」

原田が帰ってくるまでの時間を、ホームページの企画立案に充てる。

 

すると障子とは反対側のガラス戸が、ガラガラと開いた。

「ふぃ~、みず・・・みず飲みたいっス」

下着姿の原田妹が入ってきて、置いてあったピッチャーに手をかけ固まった。

 

「・・・ア、アレ・・・アニキ・・・じゃないっス!?」

彼女は前が開くタイプのパーカーを羽織っていたものの、桜色の下着が完全に見えていた。

「あ、ああ。原田は出かけてて・・・」

ボクは、咄嗟に目をそらす。

 

「なッ、ななななな、なんで・・・なんでお兄さんが居るっスかッ!?」

「原田は外出するから、先に上がって待っていてくれと言われてだな」

「ふぎゃあああぁぁぁぁーーーーーーーーッ!!」

 

原田妹が、慌ててリビングを立ち去る。

直ぐに、バタンと大きな音がした。

「アニキ、後で絶対ぶっコロすっスぅ!」

激しい怒りの声が、部屋から聞こえた。

 

しばらくすると、パーカーの中身を着替えた原田妹が、部屋から出てきた。

恨めしそうな瞳をぶら下げて、ボクの前のソファに胡坐をかいて座る。

「グズ・・・で、なんの用なんっスか?」

原田妹は、完全に鼻声だった。

 

「もしかして、休んだ理由って風邪?」「見ての通りっス。どしたんスか?」

パーカーのフードの下の瞳が、ボクを不思議そうに見つめてる。

 

「いや、キミが学校休んだって聞いたんで、ちょっと気になったんだ」

「なにがっスか?」

「もしかしたら昨日、オレが漫画について手間がかかり過ぎるって言ったのが、マズかったかなって」

「気にしてないっスよ。漫画が手間がかかるのは、事実っス」

 

「でも昨日一日考えてさ。漫画はとてつもない可能性もあるメディアだと、気づいたんだ」

「そっスか? まあ、可能性があるのは確かだと思うっス」

「問題は、どうやったら漫画の可能性を、最大限引き出せるか・・・なんだが」

「簡単には行かないっスよ。それが解れば、誰も苦労しないっス」

 

ボクは原田妹に、昨日の意見をぶつけてみた。

「確かに、舞台設定が自由なのは、漫画の強みっスね。その気になれば宇宙だろうが、異次元だろうが、簡単に行けちゃうんスから」

 

「それに漫画の中なら、簡単に超人が生み出せる。地道な努力家から、素手で地球を破壊してしまうモンスターすら」

「なる程っス。流石に動画でも、素人が簡単に作れるモノじゃないっスね」

胡坐をかいていた少女は、今度はヒザを抱え込んで座る。

 

「オレは、漫画のネガティブな部分にのみ、目が行っていた。反省してる」

「なんスか、改まって。でもなんか、うれしいっス」

 

原田妹は、漫画を褒められて上機嫌だった。