企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)123話

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運営ノウハウ

「おい、いいのか? オレとしちゃあ、二つの雑誌に載せられるなんて、有難いコトだが……」

 

「本来なら、良くはないだろうな」

佐藤の問いに、ボクは答えた。

 

「相手は、この地方に根差した地域密着型のサッカークラブだ。正直、ウチの読者が根こそぎ持って行かれるリスクだってある」

「それじゃあ……」

 

「けどな、佐藤。お前はウチのネット漫画雑誌で、漫画を描くメリットって無いと思うか?」

「そ……そうだな。無いとは言えない……というか、あると思うぞ?」

 

「それって、なんだ?」

「なんだって……上手く言えんが、お前はオレの漫画を、解ってくれているというか……」

 

「ああ、そう言うコトですか」

「そう言うコトって、なんだい。池田さん?」

佐藤は、解っていないようだ。

 

「ノウハウですよ。ネット漫画雑誌の運営のノウハウ」

池田さんは、ボクが言おうとしていた正解を、ズバリ言い当てる。

 

「ノウハウ? つまり、漫画家のノウハウ?」

「それもありますが、漫画家との接し方から、ネームの描き方、ネームの見方、背景の描き方から、色々ありますよね?」

 

「ふぅ、確かにそれを聞くだけでも、大変そうだな」

大倉野さんが言った。

 

「やっぱサッカークラブも、運営は大変なんですか?」

佐藤がぶしつけに聞く。

 

「そりゃあ選手もコーチもプロであれば、色々な要求をしてくる。結果を出せば、その分サラリーアップを要求されたりね。サッカーの場合、極めてトレードも激しいから、他のクラブの有力選手をリストアップしたり、まあ大変なんだわ」

 

「あと、スポンサーの意向とかあったりしますよね?」

ボクも、便乗して聞いてみる。

 

「それなんだよ。下部リーグにでも落ちた日には、スポンサー契約を解除されるコトもあるんだ」

 

「そ、それじゃあ、下部に落ちたらチームが解散!?」

「いや、それは無いから、池田さん。これだけのクラブともなると、スポンサーの数だけでも三十社以上は付いてるからね」

 

「そ、そうなんですか、佐藤先生! わ、わたしったら……」

「でも池田さんが言ったみたいに、下の方のリーグに行けば行くほど、付くスポンサーも少なくなり、経営も大変になってくるのも事実だ」

 

「確かにその点では、ウチは恵まれているな。日本のトップ企業がスポンサーに付いてくれている。だが、サッカークラブ運営のノウハウが、確立されているかと言えば、そうでもなくてな……」

 

「そうなんですよね、サラリーマン気質の親会社と、サッカークラブの運営が、うまくかみ合ってないというか、ノウハウが蓄積されないように見え……」

 

「お、おい、佐藤!」「あああ、え、偉そうにすみません!!」

ボクは、佐藤先生を慌てて止める。

 

「痛いとこ突くね、佐藤先生も……」

大倉野さんは、顔を引きつらせて笑っていた。