企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)022話

新たな漫画の運命は、一本の鉛筆に託された。

 

「それじゃあ行くっスよ。エイッ」

原田妹が、机に鉛筆を転がす。

「あ、3だ」「トロワ?」

「やったっス。舞台は、マウナケア山に決まりっス」

 

「いやいやいやいや。それ、どんな舞台だよ。おかしいだろ?」

ボクのツッコミも気にせずに、原田妹は紙にアイデアを走らせる。

「次は、主人公っス。性別から性格から容姿まで、好きに決めていいっスよ?」

 

「じゃあ、高校の先生。スノーボード部の顧問って、どうかな?」

市川さんも、原田妹のペースに巻き込まれていた。

「男っスね。年齢はっス?」「うん、年齢は二十四歳」

「なかなか良いと思うっス。選ばれるといいっスねえ?」

 

「つぎは、アタシね。やはり男ォーで、サムラーイでーす」

「サムライって、イリヤさん。現代劇だよ?」

「別にそんな設定は無いっスよ」「だって、スノボは現代の・・・」

「漫画なら、何だってありっス」

 

確かにそんな気もした。

「頭、茶筅髷ゆってーるね。三十八歳のショーユ顔ね」

イリヤの覚えてる日本語は、マニアックだった。

「それじゃあオレは、マンガ好きの女子高生・・・」「うわあっス」

「なんだよ、そこで『うわあ』って言える立場か?」

 

イデアが六つ、出たところで鉛筆が回される。

「オーララ、サムライ選ばれましーた。やっぱサムライ、さいきょーね」

「おいおい! マウナケア山でサムライが、スノボって・・・」

ボクは思わず絶句した。

 

「んじゃ、最後はヒロインっス。十二人姉妹ってのはどうっスか?」

「宇宙人の女の子が、地球の女の子に憑依するとか?」

「海賊の女の子ね。サムライ、海賊、さいきょーね」

 

「そんなバカな・・・ヒロインくらいは、ちゃんとしないと」

このままではとんでもない漫画が、出来てしまいそうだった。

「大型スポーツ店でバイトする、平凡な女子高生」

 

結局、最後のダイスならぬ鉛筆ロールは、ボクの案が採用された。

「んじゃ、十二人姉妹と、宇宙人に憑依された女の子と、海賊の女の子は、脇役として出すっスか?」「いや、止めとこう」

 

「じゃあ、話しは決まりっスね?」「いや、どー考えたって、厳しいだろ?」

「何でっスか?」原田妹は、真顔で返してきた。

「だって、ハワイのマウナケア山で、サムライと普通の女子高生が、スノボっておかし過ぎるだろ?」

 

「まだまだっスねえ?」原田妹は、シャーペンを鼻の頭に乗せて言った。

「たとえば、家族旅行でハワイを訪れた女子高生のヒロインが、マウナケア山に登って遭難しそうになるんっスよ?」「ま、まあ確かに、家族旅行で観光地に行くのは、よくある事だが・・・」

 

マウナケア山は、一面の銀世界っス。なんせ富士山より高い山っスからねえ」「そんなところに、女子高生が登るのか?」「きっとアウトドアなん派っス」

「そこーで、サムライ見つけるね?」「そうっス」

めちゃくちゃな話だと思ったが、マンガっぽくも思えた。

 

「雪の中に埋もれる、見慣れない格好の男を見つけるのね。そこでヒロインが男を揺り起こすと、男は刀を向けるの。でも、敵意が無いとわかって、刀を収める男。そこに突如として雪崩が発生し、二人を飲み込もうと・・・」

 

市川さんは、完全におかしなモードに入っていた。