それからボクらは、アフィリエイトの運営に便利な、大手ASPサイトに登録した。
「けっこう、色んなサービスがあるんですね、お兄さん」
市川さんが言った。
「ねえ、お兄さん。わたし、化粧品とかコスメとか、興味あるんだよね」
「パソコン以外にも興味があるんだ、萩原さん」
「うっさい、普通にあるわよ。パソコンはペットみたいなモンよ」
萩原さんは顔は可愛いものの、かなり独特のセンスをしていた。
「それでさ、作者のページみたいなの、作ったらどうかな? そこに、わたしらのお勧めの化粧品のアフィリエイトを、張るワケ」
「お勧めって、このヘンの化粧品、使ったコトあるの?」
「けっこう、試したのが多いかも。このフェイスマスク、安くてお勧めだよ」
「あ、お兄さん。このアイライナーも、良い感じですよ」
市川さんも、根はマジなのだが、茶髪だった。
「市川……お前、昔は化粧品より、漫画やアニメだったっス……」
原田妹は、シミジミと言った。
「漫画もアニメも、今でも好きだよ。企業とお仕事するなら、コスメ好きな主人公の漫画があっても、いいと思う」
「あやー。遠くに行ってしまったっスね」
むしろ、原田妹だけだ取り残されていた。
「作者のページか。そうだな、それじゃ、作ってみるよ」
ボクのページを作るスピードも、それなりに上がっていた。
「おお、もう出来たっスか?」
「外観はね。もう少し、壁紙とか可愛い方がいい?」
「どうなか。シンプルに白で、所々にイラストとかあるくらいでいいんじゃない?」
萩原さんは、デザインセンスは良かった。
「山口や大野も、作ってもらえば?」
「うーむ、わたしらはアシか広報しかしとらんぞ?」
「わ、わたしも、興味はあるケド……」
二人は、自分がメインで漫画を描いていないせいか、謙遜しているように見えた。
「いや、二人もちゃんと関わってくれているし、広報スタッフとしてページを作るよ。二人は、何か興味があったりする?」
「そうは言われてもだなあ。漫画以外だと、参考書とか辞書をあさったり、推理小説を読むくらいだぞ?」
「わ、わたしはお菓子かな。ケーキ焼いたり、クッキー焼いたりしてるケド、岩みたいな強度のが出来上がる」
「ブログでもそうだケド、意外とそんな普通の人の目線が、受けたりするんだよね」
「そ、そんなモノか? 参考書とか、興味あるか?」
山口さんは、メガネを上げながら言った。
「ネットなら、興味ある人を見つけられると思うよ」
「お、お兄ちゃん。お菓子とかケーキとか、失敗しまくってる人でも、だいじょうぶ?」
童顔の大野さんは、ボクをお兄ちゃんと呼んだ。
「ど、どうかな? 失敗の原因とかわかる?」
「バターを塗り忘れたり、砂糖や塩の分量を量り間違えたり、それから……」
「……大丈夫かも知れないし、大丈夫じゃないかも知れない」
ボクは素直に、本音を言った。