企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)044話

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締め切り

次の日、市川さん以外の女子高生全員が、ボクのボロアパートに集合してくれた。

 

「キ、キミたちが、怒っていることは解っている。これからボクが、こっ酷く叱られるのも、重々承知の上だ。だけど、聞いて欲しい……」

 

「そんなヒマはないっス」「そ、そこを、なんとか……」

「だ・か・ら、そんなヒマは無いって言ってるでしょ?」

ボクはさっそく、芽美と萩原さんに怒られた。

 

「お兄さん、IT企業漫画の締め切り、一週間後なんですよ?」

「な、なんだってェ!!?」

「なんだってェじゃなあいっス!! 誰のせいだと思ってるっスか!?」

 

「ス、スマン。で、進行状況は?」

「まだ、完成はゼロページ。キャラの下書きだけ描いたのが5ページ……真っ白なのが5ページ……」

 

「つ、つまり?」「このままじゃ、絶対にムリっス」

「お、落とすってヤツ? こ、こっちから、ページの増加を打診しちゃってて、それはマズいだろう?」

 

「この忙しいのに、逃避行を決めておいて、よく言えるわね」

「め、面目ない……萩原さん」

「とりあえず、人手が欲しいわ。お兄さんにも、背景や文字入れをガンガンやってもらうから」

 

「こりゃ知り合いにも、声かけた方が良いかもっス。お兄さん、誰か知り合いで絵が描ける人、いないっスか?」

「そうだなあ、佐藤くらいだケド……アイツ、どうしてんのかな?」

とりあえず、メールやらSNSで連絡を入れてみたものの、返事は無かった。

 

「こっちもダメね。流石に一般人には、ハードルが高いか」

「大学に行った先輩も、やっぱムリだって」

山口さんや大野さんは、知り合いに絵描きは少なかった。

 

「と、とにかく今は、自分らでやれるだけやるっス」

「そ、そうだな。今回の漫画はデジタルだし、分業を進めよう」

ボクと芽美は、みんなを取り仕切る役に回った。

 

「まず山口は、真っ白なのに枠線を入れるっス」

「で、でもどうやんのよ? デジタルなんて、触ってないよ」

優等生と評判の山口さんでも、デジタルは苦手のようだ。

 

「それなら、オレが教えるよ。まずは、線の太さを調整して、それからシフトを押しながらこうで、まっすぐな線画引けるんだ」

「な、なる程。わかった、やってみる」優等生は、呑み込みが早かった。

 

「わ、わたしは何、やろっか?」

「大野は、とにかくベタやトーンを貼りまくるっス。あと、ゴミ取りもっス」

「でも、やり方……」「お兄さん、こっちっス!!」「はいいィ!!」

 

「おわああああ、ど、どうしよう。ハデにはみ出しちゃった」

「落ち着いて、大野さん。デジタルでの作業はやり直せるんだ。ほらね」

「ホントだ。元に戻ったぁ」

 

「たぶんこのヘンの線が切れてるんだよ。それで、ベタがはみ出したんだ」

「あ、切れてる」「あと、ベタ塗りするなら、レイヤーも分けた方がいい」

「レ、レイヤー? 髪の毛の?」「か、髪の毛?」

 

「違うっスよ。ここで言うレイヤーは、アニメのセル画みたいなモンっス」

「セル画って、何?」「セル画を知らないっスか? まったく、キョウビの若いモンはっス」

 

 作業は、遅くにまで及んだ。