企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)083話

f:id:eitihinomoto:20190816234132p:plain

二つのサッカー漫画

グンナーさんは、緻密なデザインもこなす、プロのデザイナーである。

グンナーさん的には、もっと上手く簡単に描けると思ったのだろう。

 

「な、なんかグンナーさん、めっちゃ落ち込んでない!?」

大野さんが言った。

 

「シッ、このコは思ったコト、直ぐ口にしちゃうんだから!」

山口さんに口を塞がれる、大野さん。

 

「ど、どうしてデ~スか……? こんなグニャグニャの線しか、描けないなんて」

Gペンは慣れが必要ですからね。それに、日本のマンガの絵って独特ですから」

 

日本独特のアニメ絵や漫画の絵は、解剖学的な人物の描き方を学んだ人にとっては、かなり独特で描きずらいと思われる。

 

「こんなに目が大きいのも、おかしいデ~ス。でも、これでキャラとしてバランス取ってるのが、信じられナ~イ!」

グンナーさんは、少し混乱もしていた。

 

「えっと、とりあえず画像を加工してみました。見てもらえますか?」

「わ、わかりまシ~タ」肩を落としたグンナーさんが、ボクの背中に来た。

 

「な、なる程。雑誌の止めた写真のようにするとは、こういうことデ~スか」

「漫画って、『絵の説得力』が重要なんですよ。ゴチャゴチャと色々描くより、一枚絵の迫力で押し切れる場合もあるんです」

 

「場合によっては、そちらの方がページを節約できる場合すらあるんですよ」

市川さんが、ボクの意見を補足する。

「そ、そうなの?」「はい、そうです。原田も言ってましたよ」

 

「そっか、芽美が言ってたのか……」 

ボクの漫画の知識は、ほぼ芽美から教わったモノだった。

 

「ねえ、お兄さん。ちょっと……」

ボクは、山口さんに手招きされる。

 

「最近、ネットでの芽美の漫画の評価、見てますか?」

「え? 最近忙しくて見れてないんだ、ゴメン!」

「コレなんですケド……」山口さんは、スマホを見せる。

 

「こ、これって!?」そこには、酷い評価が並んでいた。

「ど、どういうコトだ? 芽美の漫画って、ここまで酷い評価が上がる出来じゃ……」

 

けれども、理由は直ぐに理解できた。

 

「さ、佐藤のサッカー漫画と……比較されてる!?」「そうなんです……」

山口さんは、小さく頷く。

 

「実際、佐藤先生の漫画って、女性にはキャラ人気がスゴイですし、サッカーにうるさい男性にも大人気なんですよ」

「話が軽い……、サッカーを知らない、キャラが雑で無機質……」

 

確かにギャグ要素もいれた芽美の漫画は、サッカー漫画として比較されてしまうと、とても部が悪かった。

 

「佐藤の漫画は、実際のサッカー選手をかなりアレンジして出してる。それだけでも個性になるし、お互いに絡めば話なんて幾らでも作れる」

 

ボクは、芽美から連絡があったのに、返信もせずにいたコトを思い出した。

「芽美……」

 

ボクの足は、萩原さんのマンションの玄関へと向かう。

「ス、スミマセン、グンナーさん。オレ、用事を思い出したんで、帰ります!」

 

返事も聞かないまま、原田の家へと走っていた。