企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)084話

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原田(兄)

「オレは……大事なものを、おろそかにしてたのか?」

 

高校生ともなれば、色々な場所から高校へと通って来る。

原田 芽美の家は、萩原さんのマンションからはかなり遠かった。

 

ボクは一度、地下鉄に乗り込む。

 

「こんなに……焦る必要なんて、無かったのか? 芽美も、家に行けば普通に、いつもの笑顔で出て来てくれるかも知れないのに……」

 

ボクは、萩原さんのマンションに置き去りにしてしまった、グンナーさんのコトが心配になりスマホを開く。

 

SNSが何件か来ており、山口さんがなんとかしてくれてるとのコトだった。

「グンナーさん、よほど悔しかったのか、Gペンの練習始めちゃたみたいだ」

 

ボクが投げ出したスボーボードのハメ込み作業も、パソコンが得意な萩原さんと今井さんの師弟コンビが、継いでくれていた。

 

「みんなには、オレの尻拭いをさせちゃってる……でも、なんだか心配なんだ」

原田 芽美は、漫画に対するプライドが、他の誰よりも高かった。

 

「芽美だったら、このSNSでの酷評を、どう感じているだろう?」

それは、想像に難くなかった。

「納得できないハズだ。悔しくて、たまらないハズだ」

 

ボクは、地下鉄車両のドアが開くと、急いで改札へと駆け上がる。

 

「ハア……ハア。久しぶりだな……原田の家」

息を切らしながら走って、原田の家の前にたどり着いた。

 

「ん……なんだお前、息なんか切らして。オレに何か用か?」

出てきたのは、ボクのFラン大時代の悪友の一人である、原田(兄)だった。

 

「芽美はいるか、原田?」「め、芽美!?」原田兄は、急に蒼ざめる。

「お……おま、ウチの妹と、どんな関係だ!?」

 

「なにワケの解らないコト言ってんだ? 居るのか居ないのか、どっち!?」

「ニ~三日前に、萩原って友達のマンション行くって出てって以来、帰ってないぞ。親に連絡は入れてるみたいだケド」

 

「そんな……萩原さんのマンションには、来てないんだ」

「な、なんだって? それマジか?」

 

「ああ……今、その萩原さんのマンションから、急いで来たところなんだ」

「でも、どうして……なんであのバカ妹、家出なんか?」

 

ボクはスマホを開いて、原田にSNS掲示板を見せた。

「これ……どーいうコトだよ? 最近アイツ、メチャクチャ元気が無くて、落ち込んでたんだ。これが、原因だったのかよ?」

 

「スマン、原田……」「スマンじゃねェよッ!!」

普段、ボーっとした感じの原田が怒るのを、ボクは初めて見た。

 

「お前のネット漫画雑誌に漫画が載るようになって、アイツかなり浮かれてたんだ。それが、佐藤がライバルだって? アイツの漫画、そんなに面白いのかよ?」

 

「ウチの雑誌で、一二を争う人気なんだ。実際、サッカーについてちゃんと知ってるし、同じ雑誌だからどうしても比較されてしまう……」

 

「こんなの、アイツがみたら……!?」

原田も、妹の性格は痛いほどよく理解していた。

 

「芽美の行きそうなトコって、無いか?」「知るか、そんなの!!」

「オレ、もう一度、芽美の行きそうなトコ、当たってみるよ!」

 

ボクは、いつも誰かと出会う、近場のコンビニへと走る。

 

「なんだよ、芽美って……オレは、お前の兄キになんか、なんねーからな」

うしろで原田が、何か呟いた気がした。