企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)086話

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夜の雨

「芽美は……ボクが、プレッシャーに押しつぶされて、ネット漫画雑誌から逃げ出したときも、こんなボクをビジネスホテルまで迎えに来てくれた……」

 

ボクは電車に乗って、ビジネスホテルに向かった。

受付やロビーも探し、自分が泊った部屋を見せてもらったが、部屋は綺麗に片付いていた。

 

「やっぱ、居ないか……アイツ、みんなと居るときはうるさいケド、普段は割と内気らしいからな」

 

ボクは、再び電車で引き返す移動中、原田兄にも連絡していみた。

 

「おい、ウチのバカ妹は居たか!?」

「ダメだ……今、芽美と行ったホテルにも行ってみたが、居なかった」

 

「ホ、ホテルゥゥゥッ!? ……おま、アイツと!?」「また連絡する!」

「オイ、ちょっと……」ボクはスマホを切った。

 

それからボクは、かつて芽美と行った場所をくまなく巡る。

「ファミレス、名古屋発祥の喫茶店……ダメだ、どこにも居ない」

 

足が棒のようになり、ヘトヘトになるまで歩き回った。

空には黄色い月が浮かび、黒い雲がそれを隠そうとしていた。

 

「雨まで降ってきやがった……」

ボクは行ったコトの無いコンビニに入って、山口さんや萩原さんに連絡すると、グンナーさんは帰ったとのコトだった。

 

「すまない、グンナーさん、みんな。この埋め合わせはするから」

ボクはスマホに片手で謝ると、再び夜の雨の街を走り出す。

 

けれども、広大な大都市から少女一人を見つけ出すなど、到底不可能なコトだった。

 

「まったく……どこに行ってしまったんだ……芽美」

ボクは仕方なく、家路に付く。

 

「最初に、ボクのネット漫画雑誌に漫画を寄せてくれたのは、芽美だった……」

シャツも、ズボンも、びしょ濡れになっていた。

 

「漫画の知識をくれたのも、仲間を集めて来てくれたのも……」

ボクは、忙しさにかまけて、大変なモノを失ってしまった。

 

そう思って、アパートの前まで来る。

ボクの部屋のドアの前に、誰か座っているのに気づいた。

 

「芽……美?」ボクは、慌てて走り出す。

薄暗い蛍光灯に照らされ、座っていたのは、芽美だった。

 

「お、お兄さん?」体育座りから、顔を上げる芽美。

 

「芽美!」

ボクは彼女の元に駆け寄って、抱きしめる。

 

夜の雨は尚も降り続いていた。