いつものコンビニの、いつもの入店音が鳴り、自動ドアが開く。
芽美の行方
「芽美……こんなところには、居ないか?」
いつも偶然か必然か、誰かと出会うフードコートに向かう。
「おう、どうした? 写真の使用はOK貰えたか?」
居たのは、夜吸さんだった。
「あの、芽美……原田って漫画家のコ、見ませんでした?」
「お前んトコの、女子高校生マンガ家群の一人だろ。どんなヤツだっけ?」
この時点で、夜吸さんと関わりのあるのは、企業漫画を描いた萩原さんと、スノボ漫画を描いている市川さんだけだった。
「えっと、このコなんですが?」
ボクはスマホの画面を見せる。
「あー、なんか居たか、小さいのが。で、そいつがどうしたって?」
「そ、それが……」ボクは、夜吸さんにワケを話した。
「まあ商業誌でも、二人の漫画家が同じジャンル……増してや同じスポーツを題材にしてると、神経質になったりするからな」
「はい……ウカツでした。オレがもっと、芽美のコトを気にかけてれば……」
「そうは言っても、お前もここんトコ、企業との打ち合わせうやらで手一杯だったろ? 神様じゃねえんだ。上手く行かない場合もあるさ」
「でも、オレのミスです」「お前、スマホにはかけたの?」
「はい……不通でした」「電源切ってるのか、圏外か……」
「オレ、心当たりを探してきます」「心当たりなんて、あんのかよ?」
「そ、それは……でも、闇雲にでも、探さないと……」
ボクはそのまま、コンビニを出た。
「ヤレヤレ、次から次へと問題を背負いこむヤツだな」
夜吸さんが、何か呟いているようだったが、気にする余裕はない。
「ど、どこに居る、芽美……そうだ、学校か!?」
まずは、芽美たちの高校を訪ねる。
「原田さんが、来てないかですって? 今は夏休みよ。登校日でもない限り、来るワケが無いでしょう」
芽美や萩原さんの担任の、末依 乃梨が言った。
「わたしは、たまたま部活の顧問だったから居るケド、原田さんになにかあったの?」
「そ、それが、家にも帰ってなくて……」
事情を話すと、美人教師の表情が曇った。
「高校生って年代は、大人と子供の間の不安定な時期なのよ。大人だったら些細なコトに思えても、彼女たちにとっては大事なコトかも知れない。こっちでも、家や友人関係に連絡を取ってみるわ」
「す、すみません。お願いします!」
ボクは頭を下げた後、学校を出る。
それからは、闇雲に探すしかなかった。