企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)117話

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新たなる契約

「いやいやいやいや、大丈夫。そこに関しては、我が社に任せてくれ」

デスクに座った、宇津井さんが言った。

 

「でも、いいんですか。ボクらまで、ゲレンデに招待だなんて?」

ボクは、流石に悪いと思い、伺いを立てる。

 

「今はまだ、北海道の山で冠雪があったくらいだね。10月中旬にはなると思うんだケド、シーズン真っ盛りならともかく、その頃ならまだゲレンデもホテルも開いてるからさ。ウチが言えば、どうとでもしてくれると思うよ」

 

「そーでーす。夏は、漫画の制作現場、見せてもろたね。今度はワタシ、ゲレンデ案内する番ね」

グンナーさんが、胸を張る。

 

「グンナーは、ケガで選手生命が絶たれてからも、相変わらずスノーボードを楽しんでいるからね。明日から、北海道だろ?」

 

「そーね。北海道の雪、最高にスバラシイね。エクストリーム、なるケド、スノボサムライみたいに、野生の力で滑り降りるね」

 

「オイオイ、あんまり無茶はするなよ。我が社の契約デザイナーなんだから、ルールは守てくれ」

宇津井さんに心配される、グンナーさん。

 

「ワカテマース。ちゃんと入山許可、とりまーす」

グンナーさんはスウェーデン人ながら、アメリカ人のように、危険やスリルを愉しむタイプの性格だった。

 

エクストリームとは、決められたコースを滑るのではなく、自然のままの雪原を滑る事を言うらしい。

最もそれは、市川さんがスノボサムライ漫画を描き始めて、初めて知ったのだ。

 

「しかしウチも、市川さんのスノボサムライの連載で、ボードやウェアを発表できるってのも大きくてさ。ライバルに差を付けられるんだよね。こっちのが、上だよって」

 

「それって、ブランド力が上がってるってコトですか?」

ボクは、おもいきって聞いてみた。

 

「まあ、普通にスノーボードを店に並べるだけより、確実に手ごたえはあるね」

重そうな腰を椅子ごと回す、宇津井さん。

 

「ショップのコの話じゃ、スノボサムライが着てるウェアだ……って、お客さんが話してたりとか、ライバルのインテリ起業家のボード、下さいって言われたりとかさ」

 

「そ、そうですか。市川さんも、喜ぶと思います」

「いや、実は喜んでるのはウチも同じでね。これならもう一人、漫画家と契約してもいいんじゃないかって、話しになってるんだ」

 

「いや……もう決定事項だ、宇津井。御社の漫画家と、新たに契約を結びたい」

振り向くとそこには、社長がいた。

 

「社長。いらしてたんですか」

「ど、どうも、お世話になっております」

 

「まあ、そうかしこまらずに。それで、ウチとしてはだね。佐藤先生だったかな。彼のサッカー漫画とも、契約をしたいと思っているんだ」

 

昔から佐藤を知っているだけに、一流企業の社長から佐藤先生と呼ばれるのは、もの凄く違和感があった。

 

「はい。喜んで、お請けしたいと思います」

「それでね、キミに会ってもらいたい人がいるんだ」

社長は言った。