企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)128話

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見栄と見栄

「オー、そいえば、わたしもネット漫画雑誌の編集部、見てみたいねー」

グンナーさんが言った。

 

「いや……ウチは、その……」

だが、そんな大そうなモノは無い。

 

「まーいいじゃないか。こうやって、業務提携を結んだ仲だろ?」

「は、はあ……」

成瀬さんの前で、断る技量はボクには無かった。

 

「行って来い、晃ちゃん!」

「はい、社長。しっかり、見学させて貰って来ます!」

晃さんは、すっかりその気になっている。

 

「編集部っても、市内だろ? 晃ちゃん、終わったらそのまま帰っていいから」

それは、タイムカードは定時で押して置くという意味らしかった。

「了解です、社長」

 

ボクたちはデザイン事務所を出ると、グンナーさんの車へと乗りこむ。

 

「わたしが真ん中です。晃さんは、わたしの隣に座ってください」

後部座席では、それほど必要とは思えない、池田さんの佐藤先生・隔離作戦が行われていた。

 

「場所解らないね。どこ道行けばいい?」

グンナーさんが、助手席のボクに質問する。

 

「えっと、大体この辺りの……」「りょーかいね」

何もいい案が、思いつかないボクは、ボロアパートの場所を教える。

 

「前に夜吸さんが言ってた……そろそろ借金をして、仕事場を借りた方がいいのだろうか?」

 

営業というモノには多少は慣れた気もするが、経営というモノには、まだ全然慣れていなかった。

 

「わたし、実はネット漫画雑誌、けっこう前から知ってるんです。佐藤先生のサッカー漫画と、ヴァンパイア探偵は読んでますし」

晃さんは言った。

 

「晃さんって、けっこーイケメン好きなんですね?」

何故か晃さんに立てつく、池田さん。

 

「あなたも、そうなんじゃなくて?」

「わたしは、漫画家を目指してますから。キャラ研究のために佐藤先生のアシスタントをさせてもらってるんです」

 

「カワイイ娘だわね」「それはどうも」

バックミラーを覗くと、笑顔の二人の女性に押された佐藤が、隅っこの方で気まずそうに丸まっていた。

 

「なんか古いアパートに付いたね。こっから、どう行けばいい?」

グンナーさんが質問する。

 

「ここが……ボクのアパートです。残念ですが、編集部なんてありません」

少しくらい見栄を張ってみたかったが、無理だった。

 

「え……それじゃあ、ここであのネット漫画雑誌が生まれてるの!?」

晃さんが、窓を開け身を乗り出す。

 

「そ、そうなりますね……アハハ」

開き直るしかないボク。

 

「オー、漫画編集部、デスクいぱいあって、編集さんいぱい働いてるイメージだたね」

 

「それは、大手のリアル雑誌を出してる出版社ですよ。ウチは、ホームページをネット漫画雑誌に見せてるだけだから、パソコン一台あればできちゃうんです」

 

「でも……それって凄いですよね」

晃さんは、意外にも幻滅はしていなかった。