企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)125話

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デザイン事務所


ボクたちはグンナーさんの車で、大倉野さんに紹介された、デザイン事務所の成瀬さんの元へと向かった。

 

「また、市内に逆戻りですね」

池田さんが言った。

 

「すみません、グンナーさん。予定に無かった場所まで、送ってもらって」

「気にするコト無いね。デザイン事務所の成瀬さん、大倉野さんのトモダチ……何度か会ったコトあるね。でも、ちょっとクセの強い人ね」

 

「そ、そうなんですか?」

「ま、サッカー選手比べたら、大したコト無いね」

豪快に笑うグンナーさんの車は、既にデザイン事務所の地下駐車場へと入る。

 

「さっきの話を聞いてなければ、安心するところなんだが……」

ボクは緊張の面持ちで、デザイン事務所の前に立った。

 

「あの、サッカークラブの大倉野さんの紹介で……」

「ああ、聞いてますよ。先ほど、電話があった方ですね。右手が待合室になりますので、そちらでお待ち下さい」

 

若い社員らしき人物に指示され、ボクたちは待合室で成瀬さんを待つ。

デザイン事務所の中は、人もパソコンも、電話も、全てが慌ただしく動いていて、殺伐としていた。

 

「おー、グンナーちゃん、久しぶり。キミたちが、漫画家の人?」

漂々とした感じのおじさんが、ボクたちの前にやって来た。

 

「始めまして、ボクは……」

「同じデザイン分野でしょ? ウチと被るじゃない。よく来れたねえ」

嫌味を言いながら成瀬さんは、目の前のソファーにドカッっと座った。

 

「ウチもデザイン事務所なんて言ってるケド、どこも客の奪い合いだからさあ。結局、客なんてそれなりのモノさえ出来れば、あとは価格なワケよ。新規に参入ってなると、ウチの下くぐったりしちゃってない?」

 

下をくぐるとは、お客さんにライバル企業を下回る価格を提示するコトである。

 

「確かにウチは新規で、ホームページも作ってますが、商品は漫画になりますね。ホームページと言っても、雑誌形式です」

 

「ふ~ん、どれどれ」

成瀬さんは自分のスマホで、ボクのネット漫画雑誌を確認する。

 

「あ~なる程。こう言うコトね。確かにこれだと、ウチとそんなに被らない気もするな。しかも、漫画を一本、ウチにくれるんだって?」

 

「い、いえ。共同で同時連載という形に……」

「ま、そりゃそうだわな。それでも、お人好しって気もするが」

 

成瀬さんは席を立つと、コーヒーとタブレットを持って戻ってきた。

タブレットの方がデカくて、読みやすいんだよね。えっと、これがサッカー漫画か。随分と本格的じゃないか?」

 

「はい、ウチの佐藤の力作です」

「へー」空返事をしながら、漫画を読み始める成瀬さん。

 

「オー、ここで……なる程。ギャハハ……」

けっきょく成瀬さんは、ニ十分を費やして最新の話まで読んでしまった。