企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)079話

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商業デザイナー

ボクは、大野さんたちと別れアパートに戻ると、敷いたままの布団にダイブする。

 

「ふう~、疲れた。でも、芽美たちの漫研も、優秀な後輩をゲットしてたんだ」

仰向けになって、汚れた天井を見ながら思った。

 

「これでウチの雑誌も、来年も安泰……なのか?」

少なくとも、いきなり立ち行かなくなる危険は、薄らいだ。

 

「さて、メールでもチャックするか……と?」

すると案の定、宇津井さんからメールが入っていた。

 

「ス、スゴイ。スノーボードの写真の使用許可、降りたんだ。でも……その分、経費は差し引かれるのか?」

それは、仕方のないペイオフだった。

 

「こっちは、女子高生の貴重な時間を、労働力にしてるんだ。複雑なボードのデザインで、彼女たちの時間を奪うなんて厳しいからな」

ボクは市川さんに連絡して、ボードの写真の使用許可が得られたコトを伝えた。

 

「市川さんのアシスタントをしてくれてる、田中さんにも伝えておくか?」

芽美の学校の漫研部は、独自のSNSがあり、そこに書き込めば皆に伝わる。

 

「お、既読になった。ん……写真を、パソコンで漫画風に加工するやり方を、教えて欲しい?」

そういえば、教えてなかった。

 

「明日、ボードの写真を受け取ったあと、例のファミレスにて教えます……と」

打ち込むと、萩原さんから直ぐに、返信があった。

 

「ええッ……ウチのマンションに、来てくださいィ?」

「そ、そりゃムリだろ? 女子高生のマンションって……」

「親もいるから、問題無い? なに考えてんだ? ……クッ!」

 

ボクは、マンションにお邪魔するコトになった。

 

翌日、寝ぼけ眼で歯を磨いていると、スマホが鳴った。

「お前、漫画の金額を値切られたんだって?」夜吸さんは、不機嫌そうだった。

 

「正確には、写真の提供と使用料を引かれます。こっちがムリ言ったワケですからね。そこは仕方ないかと……」

「しゃーないな。こっちの取り分も、引いておいてくれ」

 

「それは、いいですよ。こっちが交渉した結果……」

「お前さ、あんま良い顔すんなよ? フリーランスでやってくなら、貰うとこはちゃんと貰え。お人好しじゃ、やってけねーぞ」

 

「は、はい……すみません……」

ボクは、夜吸さんの言う通りだと思ったが、よくよく考えると、夜吸さんもお人好しのように思えた。

 

「今日はオレ、別件で行けねーケドよ。あんま足元見られんじゃねーぞ?」

夜吸さんはそれだけ言うと、スマホを一方的に切る。

 

「今日はオレ一人で、宇津井さんに会って、デザインを受け取らないとな」

大手スポーツ用品ショップの、運営会社のデスクで、宇津井さんは一人の外人と待っていた。

 

「紹介するよ。彼は、スノーボードのデザインを担当された、グンナーさんだ」

背の高い、金髪の髪と、金色の髭の男の人だった。