企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)074話

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漫画の制作時間

その日、ボクは税務署から帰ると、布団に転がり込んだ。

 

「メ、メンドクサイなんてもんじゃないな……税金って。なんで収める側が、こんなに苦労しなくちゃいけないんだ?」

 

布団に突っ伏していると、机に置いたスマホの着信ランプが光っている。

「ん……芽美か? そういえば最近、会ってないな」

 内容は、漫画についての相談だった。

 

「珍しいな。アイツ、オレより漫画に詳しいのに、オレにアドバイスを求めて来るなんて……」

ボクは、そのまま仰向けになって、天井を見た。

 

「ま……明日でいいか?」

そう思って、眼を閉じる。

 

翌朝、ボクは近所のコンビニで、パンとコーヒーを買って、食べていると夜吸さんがやって来た。

 

「やっぱここにいたか?」「あ、おはようございます」

すると、夜吸さんは、怪訝(けげん)そうにボクを見る。

 

「お前、最近眠れてるのか?」「はあ、正直、あんまり寝た気はしませんね」

「そろそろ、お前一人がこなせる仕事の量じゃ、無くなって来てるだろ?」

「そうですが……人を雇う余裕なんて、ありませんしね」

 

「あんま、無理すんじゃねえぞ?」「はい、気をつけます」

その後、ボクは夜吸さんと、スポーツ用品ショップ運営会社の、宇津井さんのもとにむかった。

  

「スマン。一応かなり粘ったんだが、写真の使用許諾は降りなかった」

「ひょっとして、専務っスか?」「はあ、まあそうなんだわ」

宇津井さんは、重そうな体を小さな椅子に座らせた。

 

「漫画家と契約したのなら、ボードも全部、漫画家が描くべきだとね」

「しかしっスね、そこが一番の見せ場なワケっしょ? テキトーにお茶を濁したデザインじゃ、マズイわけっスよね?」

 

「そりゃそうだ。カッコ良く、ボードを使ってるシーンを描いてこそ、漫画で扱う意味があるんだから」

 

「でも、この複雑なデザインを描くとなると、ボードの描画だけでかなりの日数を使います。製図や精密描写に近いですからね」

ボクも、宇津井さんに詰め寄る。

 

「女子高生に、そんな時間はありません」「でもさ、二十万はそっちに渡ってるんでしょ? それでアシスタントを雇えばいいじゃない」

 

「例えばこの場面だけでも、アシスタントが描いて三日から四日はかかりそうなんですが……」「それはちょっと、遅すぎない?」

やはり宇津井さんは、漫画については詳しくなかった。

 

「いちいち全部、手書きで描いているんですからそうなりますよ」

「そっかぁ。漫画って、動画に比べても効率悪いな」

 

「動画の素材は、本人が喋ってるのを撮ったり、ゲーム画面の録画ですからね。確かに編集時間はかかりますが、一日に一本出せます。漫画の場合、素材自体が全部手描きです。とうぜん時間はかかりますよ」

 

「動画の方が、良かったかなあ? でも、そっちはそっちで、大変そうだし」

「もう、漫画で行くって決めちゃったんだしさあ? 何とかしてよ」

 

「また、専務に頭を下げるのかぁ? サラリーマンの宿命とは言え、気が重い」

「ス、スミマセン。でも、漫画も商品である以上は、効率化も必須なんです」

 

「なる程、効率化かあ?」「はい。写真をマンガ風に加工できるソフトを使えれば、かなり効率的に進められます」

 

「解ったよ。実は専務は、合理化とか効率化って言葉に弱くてね。もう一度、掛け合ってみるよ」

「ヨロシクゥ!」「お願いいたします」

 

ボクは、深々と頭を下げた後、夜吸さんと会社を出た。