企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)073話

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青色申告

ボクは、山口さんと税務署に入った。

 

税務署の建物は、建てられてからかなりの年数が経過していたが、昔ながらの重厚感があった。

「まずは、お兄さんの立場ですが、今風に言えばフリーランスですが、税務署的に言えば『個人事業主』になります」

 

「だ、だよねえ。それくらいは、かろうじて解るよ」

個人事業主には、収入があれば納税する義務があります。普通に税金を納める方法もありますが、経費を計上できる青色申告をしてみましょう」

 

「青色……確か、パソコンとか買うと、経費で落とせるとか聞いたコトあるな?」

「はあ、まあそんな感じです」山口さんは、ため息を付いた。

 

「パソコンと言っても、全額落とせる場合もあれば、お兄さんみたく個人としても利用しているのであれば、全額は落とせない場合もあります」

 

「個人で利用……って、あ、あれはその……!?」

ボクは、パソコンの中の大量のアレな画像を、山口さんにも見られたコトを思い出した。

 

「今は、そんなコトはどうでもいいです!」山口さんは、顔を赤らめる。

「それより、領収書とかちゃんと取ってありますか?」

 

「ああ……言われた感じで、クリアファイルに整理してあるよ」

ボクは前に山口さんに言われた通り、クリアファイルの1ページを一ヵ月として、その月に支払った領収書などを放り込んでいた。

 

「本来であれば、青色申告のできるスマホアプリの方が便利だったりしますが、まあ最初はアナログでやった方が、税制がどういったものか理解できると思いますよ」

 

「そっか、ありがとう。やっぱ、経験者がいると頼りになるな」

「べ、別に、これくらいは、自分でやれるようになってください」

「うう……なんか税金って複雑で、大変だよ」

 

「所得があれば所得税、黒字であれば法人税も払わなければなりません。まずは領収書や請求書を時系列で、複式簿記で記載……」

 

「グハアッ!!!」

ボクは、税制について色々と聞かされ、頭がクラクラしてきた。

 

「はあ……窓口に立つ前にこんなんで、大丈夫かしら?」

 

その後、ボクは窓口に並んだ。

受付のお姉さんからも、似たようなコトを聞かされる。

 

「屋号は、どうされますか?」お姉さんが言った。

「屋号って?」「例えば、はやし歯科とか、伊藤菓子店みたいなヤツです」

「うちは雑誌名か? 他と同じだとマズイんだよね?」

 

「商標登録とは違います。はやし歯科も、伊藤菓子店も、日本中にはけっこうありますよね? 屋号は同業種や同地区に、同じ名前がなければ大丈夫なハズですよ」

山口さんは、高校生には思えないくらい税制に詳しかった。

 

一通りの説明をされ、ボクたちは税務署を後にする。

 

「ねえ……山口さん」「なんですか?」

個人事業主や、小規模会社の社長って、究極の雑用係なんじゃない?」

 

「税理士を雇えない小さな会社の場合、年度末は地獄だったりしますね」

「それ……ウチなんじゃない?」「はい」

 

ボクは、気軽にとんでも無いコトを始めてしまったのだと思った。