企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)080話

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スウェーデンからの来訪者


「えっと……外国の方ですよね?」

 

「日本に住んで、十年になりマース。日本の山、とてもキレイね。日本人の奥さんと知り合ったのも山ね」

片言っぽい日本語ではあったが、意味は十分伝わった。

 

「あの、グンナーさんは、どちらの国から日本へ?」

「オ-、言い忘れてましたね。ワターシ、スウェーデン母国ね」

グンナーさんの綺麗な水色の碧眼には、少年のようは好奇心が溢れていた。

 

「グンナーは、元々はスノーボードの選手だったんだよ。事故でのケガが元で引退はしたものの、スノーボードから離れられず、デザイナーになったのさ」

 

「ワタシこのボード、デザインしたね。できれば、大事に使てほしいね」

それは、できれば『手描きで描いて欲しい』と、言っているようにも聞こえた。

 

「写真を加工して、使わせてはいただきますが、だからと言って適当な思いで漫画にするんじゃありません」

 

「オー、そうですか? ワターシ、あまり日本のマンガ詳しくないね」

「まあキミは、典型的なアウトドア派だからな」

「でも、興味ありまーす。ウチお奥さん、たまに読んでるね」

 

「それじゃあ、漫画を描いてるトコ、見学させてもらったらどうだい?」

「ええ!? う、宇津井さん。まさか、マンガ家の女子高生の家に、連れて行けっていうんじゃ?」

 

「あ、そうか? でも、とりあえず連絡だけしてみてよ。ダメだったらそう伝えるからさ」「む、ムリだと思いますよ?」

ボクは今日、写真の加工方法を教えに行く予定だった、萩原さんに電話した。

 

「え、外国の人が来るのォ? べ、別にいいケド、どこの国の人?」「え、いいの? スウェーデンだって聞いたケド」「北欧の人、来るんだって」「えー!?」「き、金髪かなあ?」「キャー」

 

スマホの向こう側で、黄色い声がキャーキャー騒いでいる。

「あ……オッケーみたいです」

 

「じゃあさっそく、行ってきなよ。でも車、止めるとこあるかなあ?」「マンションなんで、大丈夫かとは思いますが」「それじゃ、行きましょー」

 

大柄なスウェーデン人は、先頭を切って歩き出し、ボクは大きな背中を追った。

「これ、ワタシの車ね。乗って乗って」

グンナーさんの車は、大きなSUVだった。

 

燃費よりも、スノーボードが余裕で詰めるスペースと、雪道を走破できるパワーを求めているのが解る。

ボクは、右側から助手席に乗り込む。

 

 低いエンジン音を上げながら、車は駐車場から大通へと出た。

 

 

まさか、スウェーデン人とドライブするハメになろうとは、夢にも思わなかった。