企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)043話

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ドリーマーズ・アゲイン

ボクはけっきょく、逃げなかった。

「これは……究極に卑怯な選択だな」

 

彼女たちともう一度、ネット漫画雑誌を作れるという、自分勝手で捨ててっしまった夢を、ボクは自分からは一切動かずに、再び手にしたのだ。

 

ニートのオレらしい、チキンな選択だ。でも、もう一度……チャンスをくれ」

ボクは、二日酔いの頭をフラつかせながら、何とか立ち上がった。

しかし、裏を返せば、立ってるだけでもやっとの状態だった。

 

「だ、だいじょうぶっスか? だらしないっスねえ」

「部屋も、こんなに汚しちゃって……このまま出たら、ここの人に叱られるよ」

 

芽美は、ボクに肩を貸してくれて、萩原さんはボクが散らかした、缶ビールやら焼き鳥やらを、片づけ始めた。

 

「お兄さん、ちょっと飲み過ぎだよ。これじゃ、二日酔いにもなるでしょ」

「あ、この缶、まだチョット残ってるよ。もったいないなあ」

山口さんと、大野さんも、それを手伝っている。

 

「お、お兄さん、お風呂場、汚し過ぎですよ。全部、洗い流さないと、ダメだよこれ」

お風呂場で、市川さんも叫んでる。

ボクは、母親がいっきに五人に増えた感覚に襲われた。

 

「うう……面目ない」

ボクは、女子高生たちに伴われて、ビジネスホテルを出る。

何度かの吐き気に襲われながら、ボクはボロアパートまで送ってもらった。

 

「まったく、どんだけ世話が焼けるっスか? 今日は体調も悪そうだから、これくらいで勘弁するっスケド、明日みっちりお説教っスからね」

女子高生たちは、息巻いて帰って行った。

 

ボクは、煎餅のようなペラペラの布団の上で、昨日からの出来事を振り返る。

 

「けっきょくオレって、電車で繁華街に行って、近くで酒とつまみを買って、ビジネスホテルで飲んだだけだよな?」

まだ、天井のシミも、グラグラ揺れている。

 

「これが、Fラン大とは言え、大学を出て何年も経つ、オッサンの所業なのだろうか……?」

 

自分の逃避行の稚拙さに、つくづく呆れる。

 

「こりゃ、いっきにイメージダウンだな。考えてみたら、女子高生の前だし、無理してたのかもな?」

ボクは、自分の基本スペックの低さを隠して、大きく見せようとしていた。

 

「彼女たちの夢のためにも、自分自身のためにも、もう一度オレが作ったネット漫画雑誌と向き合ってみないとな」

 

その日、ボクは色々と考えているうちに、眠りについていた。