企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)041話

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芽美


『えええ!!? いきなり電話したのォ?』

『だって、その方がてっとり早いじゃん』

『だからって……」

 

スマホの向こうから、女子高生のかしましい声が聞こえる。

「あ……もう、朝か? ここって……」

窓に目をやると、四角い窓から、太陽のオレンジ色の光が差し込む。

 

「もう昼……? いや、夕方か?」

頭がズキズキ痛い。吐き気もする。

「そっか……ボクは……」

 

ようやく、自分がどこにいたかを思い出す。

『ちょっと……お兄さん、聞いてる? 今どこ!?』

「え……今、駅前……」

 

『駅前って、どこの?』「え、だから……」

コンディション最悪だったボクの脳は、拘留が長すぎて、刑事の尋問に耐えれなくなった犯人の様に、ペラペラと口に情報を喋らせた。

 

「ゴ、ゴメン……なんか、吐きそう!」

『ウゲ、戻さないでよ』『何やってんのよ、もう!!』

萩原さんと、山口さんの声が聞こえる。

 

「うぐッ!? オエェ!!」何とか手で押さえ、バスルームに駆け込んだ。

「ゲホッ、ゲホッ!! ウウエエ」その後の描写は、出来ない。

 

三十分……いや、一時間は風呂場で、もがき苦しんだだろうか?

こんなに酷い二日酔いなど、初めての経験だった。

 

「お兄さん、居る!!」「鍵開けてよね!」

ビジネスホテルのドアが、うるさく叩かれる。

「ヤ、ヤバい……どうして逃げなかったんだ、ボク……」

 

頭はズキズキ痛いが、周りの部屋に迷惑がかかると思い、ボクはドアを開けた。

萩原さんが、ズカズカと中に入って来た。

「ア、アレ? よく入れてくれたねえ」

 

「アニキに、忘れ物を届けるって言ったのよ、そんなことより」

「どうしていきなり逃げたの?」「ネット漫画雑誌も上手く行ってたのに」

萩原さんに続き、山口さんと、大野さんに詰め寄られる。

 

「だ、だって……キミたちに、正当な金額を払えてない」

「だから、それはいいって、言ってるじゃない」

 

「それに、カレーとか、ハンバーガーとかも、おごってもらってるし」

「中古のノートPCだって、貰っちゃってるわ」

 

「ケド、キミたちの漫画は、カレーや中古パソコン程度の価値じゃ……」

「バッカじゃないっスか?」「は、原田?」

萩原さんたち、三人の女子高生の後ろから、原田妹の声が聞こえた。

 

「自分で言うのも、なんっスけどね。プロでもないアタシの漫画が、そんなに価値あるワケ無いっスよ。実際、コミケに出したって、大して売れないっス……」

「は……原田……妹?」「お兄さん。アタシは芽美(めぐみ)っスよ」

 

「……め、芽美」ボクは、初めて彼女を名前で呼んだ。