企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)032話

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「頭にくるっス。今度かかってきたら、ガツンと言ってやるっス!」

「信じらんない。漫画をお金儲けの道具としか、考えてないんじゃない!?」

 

少なくとも、原田妹と萩原さんの怒りはかなりのモノで、ボクは軽々しく話してしまった事を後悔した。

 

「お兄さん、そいつのアドレス解るかな? 名前とか解るかも」

「ヒドいヤツだって、SNSで拡散しちゃえ。絶対バズるよ」

山口さんと大野さんも、とんでもない事を言い出した。

 

「バズるどころか、炎上しそうだよ。落ち着いて。みんな一旦落ち着こうよ」

彼女たちの怒りの火を消すのに、30分を要した。

 

「ふう。やっとみんな落ち着いてくれ・・・」

すると、ボクのスマホが鳴った。

・・・と同時に、女子高生たちの目付きが変わる。

 

「あ、はい」

電話に出たボクの体は、周りに集まった女子高生たちによって圧迫される。

スマホの向こう側にいる男の声を聞き漏らすまいと、聞き耳を立てていた。

 

「はいじゃねーよ。っつか、昨日のそっちの提案なんだケドさ。クライアントの企業に伝えたらOK出たわ」

 

「え!? そ、それじゃあ」

「ページ数アップも了承された。おかげでこっちも、依頼料アップだわ。とりあえず、ネームの段階で見たいから、できる限り早く送ってくれってよ」

 

「わ、わかりました」

「っま、今回はお互い良かったな。ケドよ。今回みたいな、物分かりのいいクライアントも稀だ」「そう・・・ですね」

 

「漫画に何の想い入れも無いヤツや、逆にめちゃくちゃ読んでるってだけで、知った気になって色々言ってくるヤツとかいるけどよ。そんなのから依頼が来たときどうするかも、ちゃんと話し合っておけよ。いいな」

 

「は、はい・・・あの?」「ん、なんだ?」

「この度は、すみませんでした」

 

「は、はあ? 何今さら誤ってんの。依頼者に立てつくってのは普通、許されねえコトだからな。今回はたまたま、運が良かっただけ。覚えとけよ」

スマホの通話は、それで切られる。

 

周りに集まった女子高生たちは、一斉に言論の自由を回復した。

「な、なんで謝っちゃうっスか、お兄さん」

「そうだよ。もっと言ってやりゃあいいのに、お人好しなんだから」

 

「やっぱ、社会的に消えてもらおう」「それがいいよ」

「良くない!」ボクは、山口さんと大野さんのスマホを止める。

 

コンビニのフードコートから、他の客と原田兄は消えていた。

「オ、オレも少しくらいは、言い返そうと思ったんだ」

「ならどうして・・・」「言い返さなかったっスか?」

 

「ん~、たぶん彼も、漫画は嫌いじゃないと思ったからだよ」

「ど、どうしてそんなコトが、解るっスか?」

「なんとなくだケド、話してるウチにそう思えたんだ」

 

女子高生たちは、不満そうな顔を並べていた。

「やっぱ今回の事は、オレにも落ち度はあった。彼にも言われたよ。今回みたいな物分かりの良い企業で無かった場合、どうするのかって」

 

「どうするって言われても・・・」「ど、どうするっス?」

「それをみんなで考えよう」

ボクは、四人の女子高生たちと向き合った。

 

「これからは、漫画でお金を貰う可能性も高まってるんだ。ちゃんとみんなで話し合って、決めておかないといけない」

「そうっスね」「うん、そうかも」「プロ意識かあ」「何か、大変そう」

 

原田妹も、萩原さんも、山口さんも、大野さんも納得してくれた。

「ところでお兄さん?」「なんだい?」

「電話してた彼って、なんて名前っスか?」「・・・き、聞いてない」

 

「確かにお兄さんにも、落ち度あるっスねえ」

四人の女子高生は、生暖かい目でボクを見た。