企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)031話

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ボクは、夜中にかかってきた電話に出た。

 

「あのさ。依頼内容はちゃんと伝えたよね。それが出来るって言うから、こっちは話を振ったワケよ」

スマホから聞こえてきたのは、ボクとそれ程変らなそうな年齢の声だった。

「は、はい。ですが・・・」「ですがじゃねーよ」

 

それが、凄い剣幕でまくし立てる。

「何だよ、漫画は1つのお題で1つの漫画って? そんなに金が欲しいワケ?」

「そうじゃありません。四つのお題を一つのページに入れてしまったら、それはただ事実を描いているだけになってしまって・・・」

 

「だ~から何? こっちは、漫画の品質なんてどうだっていいんだよ。クライアントの言われた通りに、仕事しろっての」

男の口調からボクは、彼が中間請け負い業者だと気づいた。

 

「オレら下請けはさあ。企業が出した指示通りに、仕事をこなしてりゃいいんだよ。納品さえしちまえば、そのプロジェクトが成功しようが、失敗しようがこっちには関係ないの。解ったぁ?」

 

「そうですか? では、今回の話はこれまでと言うコトで」

ボクは強引に電話を切った。

みんなが一生懸命に描いている漫画を、侮辱された気持ちになったからだ。

 

こんな事をすれば、彼からの依頼は確実になくなるだろうし、彼の口から、ボクのネットマンガ雑誌に対する悪評が流されるかも知れない。

「マズったか? ボクだけならともかく、みんなにまで迷惑をかけるよな。とくに、漫画を描いてくれる萩原さんに、なんて言おう?」

 

少しだけ後悔してると、スマホに同じ電話番号が表示された。

「なあ、お前バカなの? 頭おかしーだろ。普通、いきなり切るかぁ?」

言いたい事を言い終わると、電話の向こうの男の気持ちは、落ち着いた様だった。

 

「まあ、一応そっちの意見は、クライアントに伝えておく。オレとしちゃあ、品質がどうでもいいのは変わらんが、ページ数アップは金額アップに繋がるかもだからな」

男は一貫して、営利だけを目的としていた。

 

ボクの返答を待つまでもなく、電話は切られていた。

「自分も同じコトをしたのだから、人のコトは言えんか?」

ボクは、布団に潜り込んだ。

 

翌日の夕方まで、先方からメールも連絡も無かった。

ボクは久しぶりに、原田妹の方ではなく、兄の方と会っていた。

 

「それ、企業自体を装った中間業者だな。そいつが仕事を割り振って、中間マージンを得るんだろうよ」「やっぱりかぁ。断って正解だったかな?」

ボクは、イエスという回答を期待したが、そうはならなかった。

 

「つっても、プロジェクトのスケジュール管理とか、大変だぞ?」

ボクや佐藤と並んで、ニートなハズの原田兄は言った。

「多分、色んな案件が押していて、お前のプロジェクトだけに時間をかけてられなかったんじゃないかな?」

 

「推測だろ? でも、なんかオレも、そんな気がするなあ」

人間、忙しさで変貌したりもするモノだ。

 

「アレ、バカ兄きと、お兄さんがいるっス」

ボクたちが話し込んでいたコンビニのフードコートに、原田の妹の方や、市川さん、萩原さんたちもやって来た。

「ホントだ。ねえねえ、わたしが描く予定の企業漫画は、どうなったの?」

 

「それが・・・」

ボクは、電話でのやりとりの一部始終を、彼女たちに話す。

 

集まった女子高生たちは、ボクの十倍は怒り狂った。