企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)095話

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探偵モノ

「でも、背景にデジタル素材を使えるとなると、作業が一気に楽になりますよね?」

今井さんが言った。

 

「そうだね、背景ってマジで描くの、時間がかかるからなあ」

「それに、上手く描けませんしね……」「確かにね」

休息を終えたわたしは、スマホで過去の自分の作画を見る。

 

「……お兄さんの原作のヴァンパイア探偵って、もっとリアルな背景の気はしてたんだよね。やっぱ写真から起こした線画の方が、しっくり来る……」

「ほほう?」今井さんが、流し目でわたしを見ている。

 

「だからその話は、オ・シ・マ・イ!」

わたしはキャラの作画をしながら、後輩の話題を変えようと試みた。

 

「少年漫画って、どうかしてるくらい背景が描きこまれてたりするよね?」

「アレ、ほぼ製図ですよ。ベテランのアシが、三日かけて描くって話も聞きますし」

 

「ベテランのアシって、一日平気でニ~三万だろ? 背景だけで六万とか、採算合うのかな?」

「合わないって聞きますよ。赤字の漫画家も多いらしいですし」

 

「ウチらも、学生だから親に食べさせてもらってるケド……」

「プロになったら、大変ですよね……」

 

「でもその点、ウチらってセミプロみたいなコト、やらせて貰ってるからね。他の同人描いてるコたちより、恵まれてるよね」

「ソレなんですよ。わたしも自分の作品を、描きたいです!」

 

「構想は、もうあるの?」

「そ、それが……探偵推理モノを描きたいとは、思うんですが……」

 

「同じ雑誌で、ジャンル被りすると……原田の例もあるからなあ」

「そ、そうなんですよ。正直に言って、自分に『ヴァンパイア探偵』を超える作品なんて、描ける気がしません!」

 

「珍しく弱気だなあ? とは言え、原作を貰ってるから言えるのか」

「いいなあ。やっぱできる男って、惚れちゃいますよね?」

惚れてしまったわたしは、顔を真下に向ける。

 

「ハイハイ。もう好き勝手言ってな」

「でもわたし、子供の頃から探偵だとか、推理サスペンスに興味があったんです」

「もしかして、有名なアニメや漫画になってるアレ?」

 

「た、確かに入りはソコですけど、今はアニメの下敷きになった原作の推理小説も読んでますよ!」

今井さんは、大人っぽさと無邪気さが、同居したような性格だった。 

 

 「でも正直、推理モノって漫画にしろ小説にしろ、メチャクチャ考えるの大変そうじゃない?」

 

「そうなんですよ!? 原案を何本か描いてみたり、色々と研究もしてみましたが、全然ダメでした……」

落ち込む後輩だが、だからと言って推理モノの描き方なんて解らない。 

 

「ところで今日は、午前中から作業積めだったからな。午後はちょっと、電気街行ってみない?」

「あ、ソレいいですねえ」

 

パソコン好きの後輩の表情は、一瞬で晴れた。