企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)112話

f:id:eitihinomoto:20190914234145p:plain

新キャラ

「とりあえず佐藤のサッカー漫画も、新キャラの登場で数話は持ちそうだな」

アパートの薄汚れた畳の上で、ボクは言った。

 

「だがな。ネームの段階ならもう一人くらい、新キャラをストックしておきたいところなんだ」

相変わらず、不安症の佐藤が反論する。

 

「あの……佐藤先生、キャラクターのラフ案、描いてましたよねえ?」

畳の上で正座したままの、池田さんが指摘する。

 

「ああ、これな。まだ外見だけで、どんな性格にするかまでは決めてないんだ。それ以前に、採用するかもわからん」

「どれどれ?」ボクは佐藤から、ラフ原案を受け取った。

 

「今の主人公チームって、どんなポジションがいるんだっけ?」

「まず主人公は、ミッドフィルダーファンタジスタタイプ……なんだが、超コミュ症で試合によっての出来が激しい」

 

「な、なる程……」それは、佐藤みたいだとひそかに思った。

「あとは、超クールな優等生がボランチのポジションにいて、地味な努力型のサイドバックが一人ってとこだ」

 

「けっきょく、人気が出てるのは主人公と、クールな優等生……それに、チームオーナーで高校生のプロサッカー選手くらいか?」

そろそろ、テコ入れが必要なのも理解したし、佐藤もそれを悩んでいたのだろう。

 

「それに、オーナーのプロ選手は、主人公たちの試合には出らないんです!」

池田さんは言った。

 

「確かにこの手のスポーツものって、もう少し個性的なキャラを揃えた方が、上手く行くよな?」

「だろ? それで、こん中で使えそうなキャラってあるか?」

 

「あります! この日焼けした二人のキャラ……黒髪で子供っぽい笑顔のコと、こっちの長身で筋肉質な金髪のコです!」

恐らく佐藤は、ボクに質問したのだろうが、池田さんが答えた。

 

「ひょっとして佐藤。このキャラ原案……」

「ああ、もう池田さんには見せてる」

 

「そ、そうか。それで、二人をどう使おうってんだ?」

「こっちの黒髪のコですが、陸上部ってのはどうでしょう? メッチャ脚早いです」

 

「な、なる程なあ! 確かに陸上部ってありかもな。それを主人公がスカウトすんのか?」

「はい。たぶん、短距離走の勝負な感じがします」

 

「お。それ、オレも今考えてた」

「だけど、この主人公で勝てるのか? 脚は早くないんだろ?」

「そ、そうだよな。陸上部の脚の早いヤツに勝てるかどうか……」

 

「それなら主人公はドリブルしながら、黒髪のコはハードルを跳びながら競わせてはどうでしょうか?」

 

「さ、採用!」佐藤は言った。

「やったあッ!!」佐藤に飛びつく、池田さん。

 

「ほわッ!!?」

佐藤先生は、しばらく固まっていた。