企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)067話

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市川さん

その日、ボロアパートに帰ると、ボクのパソコンに大量にメールが届いていた。

 

その多くは、今日行った企業である、総合スポーツ用品ショップからのモノだ。

 

「やっぱ、大手企業ともなるとスマホより、パソコンにメールを入れてくるのか。ボクが居ないときに、重要なメールが届くと大変なんだが」

 

内容を確認すると、宇津井さんから契約内容を確認するメールと、社長さんから挨拶のメールも届いていた。

 

「こっちも、返して置くか。えっと、文法は……」

ビジネスの形式文章の書き方は、ネットにいくらでも乗っていた。

 

「アレ? これは、女性社員からだ。今日読んで、スノボのサムライさんと、サッカー漫画の主人公が好きになりました……だって。さっそく、ファンになってくれたんだ」

内容が仕事と離れていたので、多少フランクに寄せたメールを返す。

 

「あ、宇津井さんから、返信だ。えっと、細かい打ち合わせをしたいから、スノボ漫画の作者に会えないか……だって?」

 

ボクは、市川さんにSNSで連絡を入れてみた。

「うお、早!!?」瞬時に着信音が鳴る。

 

「さ、ささ……三十万で、連載契約ってホントですか?」

「ああ。でも残念ながら、ウチに入るのは二十万だ。夜吸さんに紹介料や諸経費で、十万を支払うとボクが決めた」

 

「そ、そうですか。で……でも、結構な、金額ですよね?」

「でも、こっちでも、みんなに分配しなきゃならない。大丈夫かな?」

「は、はい。高校生ですから、あまり大金をいただくのは、ちょっと……」

 

市川さんは茶髪ではあったが、根はマジメなコだった。

「ちなみに、宇津井さんが担当なんだケド、漫画家との契約なんて、前代未聞らしくてさ。書類だの、評価システムがどうのとか、色々と大変みたい」

 

その打ち合わせは今日の昼間、夜吸さんと宇津井さんとで、必死に詰めていた。

 

「宇津井さんと会うのは、一応あさってを予定してる。冬シーズンがメインの会社だから、夏の今は比較的ヒマらしいんだケド、それでも忙しい人でさ」

「了解です、あくまで予定ってコトですね」

 

「ああ、理解が早くて、助かるよ」

「そ、それで、ですね。い、いきなり企業の人と会うのって、緊張します。できれば明日……いつものファミレスで会いませんか?」

 

スマホから聞こえる市川さんの声は、既に緊張していた。

「ああ、解ったよ。先に何か頼んで食べてるから、授業が終わったら来てくれ」

「わ、わかりました」

 

ボクは電話を切った。

 

次の日、ボクはファミレスで、ドリンクバーと、山盛りポテトフライを注文した。

しばらく待っていると目の前の席に、黒い髪のオカッパ頭の少女が座った。

 

「ゴ、ゴメン……この席、待ち合わせをしてるんだ。だから……」

「あの……やっぱヘンですか?」少女は言った。

 

「ア、アレ? もしかして……市川さん!?」

黒髪の少女は、市川さんだった。