企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)076話

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先パイの悩み

「こ……これは!!?」

手渡されたネームは、かなりビミョーなできだった。

 

「えっと、主人公の女の子が、宇宙の多目的競技の選手で……色んな惑星を周って……え!?」

「ど、どうかな、お兄さん?」

 

「う~ん、ちょっとこれはまだ、練りが足りないかなあ?」

「そ、そうですか……」明らかに落ち込む、大野さん。

 

「そ、そんなに落ち込まないで、先パイ!」「ファイトですよ」

後輩に励まされ、顔を伏せる大野さん。

 

「……や、やっぱわたし、ダメだなあ」

伏せた髪の向こうから、大粒の涙がこぼれる。

 

「原田も漫画のことスッゴク知ってるし、萩原だってタブレットで絵を描かせたら上手いし、山口も難しい話が得意だし……」

顔を真っ赤にして泣く、大野さん。

 

「わ、わたしだけ……わたしだけ、何もしてない!?」

鼻水を垂らしながら、訴える女子高生。

 

「そ、そんなコトないだろ? SNSで雑誌の宣伝してくれてるじゃないか?」

「で、でも……漫画描きたいのに……エッグ!」幼子のように、嗚咽を始める。

 

「こ、後輩のコたちだって、わたしに憧れて入ったコなんて一人もいない。わたしなんて、直ぐにみんなに追い抜かされちゃうんだ!!」

大野さんも、彼女なりに悩んでいたようだ。

 

(大野さんって、意外とメンタルが弱いんだなあ……って、人のコト言えんか?)

ボクは、立ち上げたネット漫画雑誌を捨て、逃げ出した事を猛省する。

 

ふと周りを見ると、コンビニのフードコートで、ボクが女の子を泣かせてる様にみえるのか、他の客から距離を置かれていた。

 

「マ、マズイ!? どう考えたって、そうとしか見えない!!」

ボクは、疲れた頭で必死に考える。

 

「そ、そうだ!」「ど、どうしたんですか、社長?」「急に大声を出されて?」

後輩の三人から、不審な目で見られるボク。

 

「前に見せてもらったのの方が、出来はいいかな?」

それは以前に、ファミレスで見せてもらったネームのコトだった。

 

「あの、猫カフェのヤツですか? も、持ってますよ」

 

大野さんは、カバンからゴソゴソと、別のネームを取り出す。

 

「あ、これこれ。猫が大好きな妹と、猫アレルギーが酷いのに妹が大好きだから、頑張るお姉ちゃんの話」

 

「そ、そっかぁ。確かにわたしも、こっちのお話の方が進めやすいんだよね」

「二人とも、お父さんの猫カフェの看板娘だろ? ご近所さんや、学校の同級生も出しやすいと思うんだ」

 

「わ、わたし、こっちの話、描いてみる!!」

大野さんの顔に、笑顔が戻っていた。