企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)114話

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コスパ最強・カロリーMAX

「まったく……これは、追い駆けなければならんのだろうか?」

ボクは頭に疑問を浮かべながらも、ドアにカギをかけてカネちーを追った。

 

「ゼハー、ゼハー、ゼハー、ゲホッ!!」

カネちーは、アパートから100メートルほどの、ゴミ置き場の辺りでうずくまっていた。

 

「も、もう追いついて来やがったのか!?」

台詞はカッコイイが、やってることは凄まじくみっともない。

 

「さすがは、ヒッキー。見事なまでの、持久力の無さだ」

「う、うるさい。漫画家にマラソンの能力など要らん!」

森兼 明人は、気位の高さだけは一人前だった。

 

「どうだ? ハンバーガーでも食うか?」

「む……そうだな。仕方あるまい」

ボクはカネちーを連れ、近くのハンバーガーショップに向かった。

 

「モーニングのソーセージマフィンセット二つ」

ボクが注文すると、店員さんがお決まりの台詞を返して来た。

 

「お飲み物は何にしましょうか?」

「コーラ。あと、ソーセージマフィン、三つ追加で」

カネちーはコスパ最強、カロリーMAXな注文をした。

 

「どうせ何も食べずに、漫画を描いていたんだろうが、いつから喰ってない?」

「昨日の昼くらいから?」早死にしそうな答えが聞けた。

 

「もう一度、ネーム見せてくれ」「ホレ……」

食べるのに夢中な森兼 明人は、喰い終わるまでと言っているようにも見えた。

 

「やっぱ、勢い有り過ぎだろ……例えばこの辺に、ただ広大なだけの背景のコマを置く。それだけで読者は、いったん世界の奥行きを見られるんだ」

 

「偉そうに……だが、試してみる価値はあるな? 他にないか?」

「そうだな。カネちーは、精密描写が恐ろしく得意だが、小さなコマのキャラまで細かく描いてしまっている」

 

「それがマズイのか?」「多分な」ボクは答える。

「有名な漫画家は、見せゴマや抜きのキャラは細かく描くが、小さなコマはあえて手の抜いたキャラを使っている。つまり、最低二種類のキャラを使い分けてる」

 

「なる程……言われてみれば、そうとも言えるな」

カネちーは、Sサイズのコーラで四つのソーセージマフィンを流し込んだ後、コピー用紙にペンを走らせる。

 

「まるで子供がクレヨンで、画用紙に絵を描いてるみたいだな」

「うるせえ。でもまあ、近いのかもな」

 

コピー用紙にスラスラと、簡略化されたキャラクターたちが描かれていく。

「こんな感じか? 一枚絵と違って漫画の場合、メリハリが大事なのかもな?」

 

「オレ……この後、市川さんの漫画の打ち合わせがあるんだ」

「そっか……オレはもう少し、描いてく」

 

「乗ってる漫画家を、途中で引き留めるのもアレか? オレは行くぞ」

「おう、またな」カネちーは、またなと言った。

 

ウィンターシーズンを前にして、市川さんのスノボサムライ漫画は慌ただしさを増していた。